2024年7月18日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年9月30日

 これに関連して、本論評で取り上げられていない重要な要素としては、特に域外勢力との関係において、1950~70年代を規定した東西冷戦の構造と、その崩壊による中東の地政学的性格の変化です。冷戦の終焉は、中東における米ソ対立の構図をイスラムと西洋文明という文明的な対立の構図に変化させました。とりわけ、「9.11」以降のテロとの戦いは、この構図をより鮮明にさせました。また、西側、ロシア等の中東関与の希薄化、関心の低下も冷戦の終焉によってもたらされたものであり、これに代わってイラン、サウジと言う域内大国の覇権争いが顕在化してきました。本論評で述べられているサイクス=ピコ条約による帝国主義時代のシステムの弱体化の動きも、やはり冷戦構造の終焉が加速させている変化でしょう。

 現在の中東は、文明的、宗教的、そして強権政治による求心力と、宗派的、部族的遠心力のバランスが崩れるとともに、域外勢力との関係についても古い構造が崩れ、これに代わる新しい均衡、安定が見出せない極めて流動的、不安定な状況に陥っていると言えるでしょう。「アラブの春」や米国の中東外交の漂流もこのような状況の中で生じている現象と捉える必要があります。

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