チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年10月1日

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 金世紀房地産公司という会社は2000年頃から邯鄲市で不動産の開発を始めて、以来十数年間、オフィスビルや綜合商業施設、分譲マンションなど100件以上の不動産開発を手掛け、邯鄲市最大の不動産開発業者に成長した。一時は資産総額100億元(1800億円相当)の大企業として邯鄲経済界に君臨していた。

 しかし7月下旬、この大企業のオーナー経営者である史虞豹氏が突如、すべての連絡を絶って家族と共に夜逃げした。地元財界を代表する経営者が29億元の負債を踏み倒してのこの逃亡事件は、邯鄲市全体に大きな衝撃を与えた。

 しかし衝撃はそれだけにとどまることはなかった。この夜逃げ事件に誘われるように、それからわずか1カ月の間で、「卓峰地産」、「万聚地産」、「武安銀信集団」、「華北錦魁地産」など、名の知られた不動産開発会社の経営者たちが続々と逃げ出して身をくらませたり、あるいは自らの倒産を宣言したりした。邯鄲市の経済界を揺るがした「経営者夜逃げラッシュ」の発生である。

山ほどの不動産在庫を抱えて

 なぜ邯鄲市の不動産開発業者たちは競うように逃げ出すような事態となったのか。その背景にあるのは当然、本稿の冒頭から記述した不動産バブル崩壊の全国的広がりである。

 邯鄲市というのは人口160万人程度の中規模都市であるが、一時は500軒もの開発業者が群がり不動産の開発を行い、需要をはるかに超える大量の不動産物件を生み出した。しかし今年になってから全国的に不動産が売れなくなり、邯鄲の開発業者たちは山ほどの不動産在庫を抱えるようになった。2013年の1年間、邯鄲市での不動産販売面積は355万平米程度であったが、現在積み上った市内の不動産在庫はその10倍近くの3480万平米に上るという。

 地元の開発業者たちの資金繰りが苦しくなっていることは言うまでもないが、それは結局、彼らの「夜逃げラッシュ」を促した原因の一つとなった。

 しかし、彼らには夜逃げするのではなく別の選択肢もあったはずだ。手持ちの不動産在庫を大幅に値下げして売り捌いて資金を回収すれば生き残る道はあるのではないか――。しかし現実には、この最後の道すら彼らには残されていないのである。

 というのも、今になって判明したことであるが、彼らがこの数年、不動産の開発を進めるために闇金融から驚くべきほどの高い利息で大量のお金を借りていたからである。

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