2024年4月27日(土)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年10月1日

不動産バブル崩壊で中国経済はどうなるか

 不動産バブル崩壊の最大の原因は、今年2月26日に掲載した『既に始まった中国史上最大の不動産バブル崩壊劇』で指摘した通りのものだ。要するに、2000年代に入ってからこの十数年間、中国政府はずっと、お札をバンバン刷って金融緩和を行い、民間の不動産投資の拡大を刺激するような方策で経済の高度成長を支えてきた。しかしこのような節度のない経済政策の結果、市場に流通する貨幣が溢れすぎて「流動性過剰」という現象が生み出された一方、過剰になった貨幣の多くは不動産投資に流れ込んで価格を高騰させてバブルを膨らませた。

 市場に流通している貨幣が溢れすぎると、それが当然インフレの発生=物価の高騰を招くこととなり、食品を中心とした物価の高騰が目の前の現実となると、それが原因で社会的不安が高まることを危惧した中国政府は一転、貨幣の供給を抑制する金融引き締め政策を実施した。

 そして2011年からの金融引き締めの中で、不動産開発業者に対する銀行からの融資が激減する一方、多くの商業銀行は2013年の秋頃から、個人住宅ローンに対する貸し出しを停止するという断固たる措置に踏み切った。

 そこから始まったのがすなわち、不動産物価の販売不振→開発業者の資金繰り難→不動産在庫の値下げ処分→価格の下落という悪循環であるが、そのたどり着くところはすなわち不動産価格の総崩れ、要するに不動産バブルの崩壊である。

 問題は、不動産バフルが崩壊した後に中国経済がどうなるのかであるが、現在、全国の不動産投資のGDP (国内総生産)に対する貢献度が16%にも達しているから、バブル崩壊に伴う不動産投資の激減は当然、GDPの大いなる損失、すなわち経済成長のさらなる減速に繋がるに違いない。しかも、バブル崩壊の中で多くの富裕層・中産階級が財産を失った結果、成長を支える内需はますます冷え込み、経済の凋落によりいっそうの拍車をかけることとなろう。

 しかし問題の深刻さは、それだけにとどまらない。不動産バブルの崩壊に伴ってその次にやってくるのは、全国規模の金融危機の発生なのである。

「邯鄲恐慌」で「経営者夜逃げラッシュ」

 不動産バブルの崩壊に伴う金融危機の発生、それは一体どういうことなのか。実はこの原稿を書いている9月29日現在、中国河北省の邯鄲市という中規模都市で吹き荒れている「邯鄲恐慌」の嵐が、この事情を端的に物語っている。

 今、全国のマスコミを騒がしている「邯鄲恐慌」は、今年7月下旬、邯鄲市内最大の不動産開発業者である「金世紀房地産公司」で起きた経営者の夜逃げ事件から始まった。


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