韓国の「読み方」

2014年10月6日

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 2000年初頭に急増した早期留学生の数も、2006年をピークに減少傾向にあり、2012年度は約半分の14,340名まで減少した。一時はブームとなった早期留学も弊害が現れ始め、その数は年々減少している。2009年の金融危機による経済的負担の増加、早期留学そのものの効果を問う声、早期留学に伴う子供へのマイナス影響、家族のあり方に対する問題等が浮上した。韓国に残り一人仕送りをする父親が自殺をする例や、家族崩壊の例も珍しくなかった。

 留学生活で身に付けた文化的違いを嘆く声もあった。3人の子供と母親を米国に留学させた家族の例である。10年以上そのような生活を続けていたが、久しぶりに小学校高学年になった子どもたちと再会した父親は衝撃を受けたという。父親のことを“YOU!”と呼んだり、気に入らない事があると“I don’t like you!”と言ってみたり。それ以降父親は、一旦家族を韓国に戻ししばらく韓国で教育を受けさせたという。日本や韓国のように目上を敬う儒教文化の国では、基本的な生活様式や価値観が英語圏とは異なるため、韓国に帰国した後に適応できない子どもたちも多かった。

国内の英語教育改革に乗り出した政府

 このような家族間の問題などが深刻な社会問題として取り上げられ、2008年、李明博前大統領は、国内の小中学校でも良質な英語教育を受けられるようにと、韓国の英語教育改革に乗り出した。

 一つは2008年以降検討が開始された、国家英語能力評価試験(National English Ability Test)の導入である。これは韓国型TOEFLと言われているもので、学生に実用的な英語を学ばせ、海外の英語試験への依存度を引き下げようと政府が開発してきた英語評価システムで、スピーキング・リスニング・ライティング・リーディングにより試験が構成されている。当初李明博政権は、ネイティブスピーカーを含む英語教師の任用を拡大することも検討し、公教育で英語能力の向上を可能にすることを掲げていた。

 さらに、この国家英語能力評価試験を大学入試に反映させ、長期的には大学修学能力試験(日本のセンター試験に相当)の英語試験をこれに代替させることを検討していた。2014年度入試では36大学が国家英語能力評価試験の成績を反映しているが、有名大学等での導入率は低い。

 しかし朴槿恵政権の発足に伴い、教育部は「国家英語能力評価試験は、その試験対策に関連し中高生の私的教育費の負担増加が懸念されるため大学受験と連携させない」という方針を打ち出し、国家英語能力評価試験の廃止を検討していると伝えられている(『朝鮮日報』2014年1月16日付)。公教育での語学力強化を目指したはずの政府の政策が、結局私的教育費の負担増加につながるということで、施行から数年で廃止の方向性を見せている。同試験の開発には約36億円の予算を投入したにもかかわらず、である。

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