2024年4月27日(土)

韓国の「読み方」

2014年10月6日

 さらに興味深い結果として、「子どもの将来に対する期待」であるが、東京ソウル共に上位1位は「自分の家族を大切にする人」(東京72.4%、ソウル80.8%)であったのに対し、東京の2位3位は、「友人を大切にする人」(71.6%)、「他人に迷惑をかけない人」(65.6%)、ソウルの2位3位はそれぞれ「リーダーシップのある人」(55.3%)、「経済的に豊かな人」(40.5%)とその価値観の違いは歴然であった。

 「リーダーシップがあり経済的に豊かな人になる」。こうした子どもの将来に対する期待は、幼い頃から、ハングル、英語、数学といった習い事に通い、小学校から競争社会に身を置くことへとつながっている。韓国では多くの親が、成功への近道は学問であると考えている。その方法の善し悪しは筆者が評価する立場にはないが、科挙文化に根ざす学問至上主義の韓国の社会構造は、より大きな社会的問題を生み出す可能性も否定できない。

 一例を挙げれば少子化である。結局こうした教育費用の高騰が韓国の少子化を招く主要因となっている。韓国の出生率は2013年基準で1.19と、日本(1.43)より低い。実際、韓国はOECD加盟国の中で私的教育費用の負担が最も高い(OECD factbook 2013参照)。これらの教育費、特に塾代を含む私的教育費の負担が家計を圧迫しており、子どもを持つことへの不安に直結しているように思える。2018年に「高齢社会」を迎えると言われる韓国だが、過熱する競争社会、英語教育を含む教育費の負担等の構造的な社会問題は、ますます深刻化する一方である。

  
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