2024年7月18日(木)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年10月12日

 学生側が求める要求には答えようがないという状況のなか話し合いの場を設けても結果は火を見るよりも明らかである。

「対話の先延ばし」が双方にとってストレスなし?

 香港政府としては、できるだけその結論をはっきりとさせないまま時間を稼ぎ、学生側の空中分解を狙うというほかにはない。つまり、さらなるデモへの参加の呼びかけを学生側が行ったという理由などは、単なる口実であり、むしろ渡りに船であったというわけだ。

 一方の学生側にしても、デモへの参加者が日に日に減って失速を感じさせるという点では早期に話し合いの場を持つことで求心力につなげたいとの希望はあるものの、具体的にどういう妥協を引き出せるのかという点ではアイデアもないのが実情だ。

 またそれ以前の問題としてデモ隊の意思統一が図られているのか否かという問題も指摘されている。つまり、香港政府側が指摘したように、「もし条件が整ったとして学生代表が街からデモ隊を責任を持って引き上げさせることができるのか?」という疑問が残るということだ。

 学生側はこれまでに二度、「期限内に回答がなければ政庁庁舎へ突入する」と宣言していたが、二回とも完全な形では実現してはいないのだ。これは政府庁舎への突入となれば運動の形が大きく変質することが避けられず、そのときに内部に反対者が出て分裂するとの懸念が働いたためとも言われる。組織としての弱点を抱えているのだ。

 その意味では、対話が先延ばしされることは双方の利害の一致とはいかないまでも、双方にとって当面ストレスがないと考えられ、問題が長期化する要素は備えていると言わざるを得ないのかもしれない。

「あくまで香港経済にダメージを与えないように」
だったはずが…

 そもそも学生側の組織が弱さを抱えているのは、次期行政長官を決める選挙で普通選挙を勝ち取ろうとする“佔中”(香港の金融街であるセントラルを占拠せよ)運動において学生が主役になるのは9月末からのことだからだ。

 「セントラルを占拠せよ」は、格差問題に異を唱えたアメリカの学生による「ウォール街を占拠せよ」を受けて、格差問題に加え民主化問題を織り交ぜ広がったものであった。中心となったのは香港の知識人であり、なかでも香港大学の法学部教授の戴耀廷と中文大学の社会学者・陳健民の二人であった。


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