2024年5月4日(土)

あの負けがあってこそ

2014年10月30日

 先ほど日本代表の強みは俊敏性と運動量と書いたが、さらにここに知力とチームワークを加えたい。国土も資源も少ない我が国が、世界に冠たる経済大国になった背景には、知力と勤勉さと和を尊ぶ組織力にある。それがスポーツに生かされないはずがない。時代が変わったとはいえ、日本人の、日本人たる資質がそれほど変わっているとは思えない。むしろ磨きが掛かっていることに期待したい。

 女子セブンズ日本代表が掲げる目標は2016年のリオ・オリンピックで金メダルを獲得することだ。それにはまずアジアで1枠の出場権を勝ち取らなければならない。そこに立ちふさがるライバルは中国と目されている。

 その中国とは、先ごろ韓国・仁川で開催された「アジア競技大会」の決勝で、アジアのNO1の座を競い「日本12-14中国」の僅差の勝負に涙している。「銀メダル獲得!」という書き方もあるだろう。選手にもスタッフにも確かな手ごたえがあったはずだ。しかし、目標がそのレベルにない以上、ここでは中国に敗れたという書き方がふさわしいと思う。

世界の頂点を目指して

 竹内は2014年4月に発足したARUKAS QUEEN KUMAGAYA(アルカスクィーン熊谷)に移籍した。

 「リオ・オリンピックまでの2年は、ラグビーに掛ける時間をもっと増やさなければ世界との距離が詰められないと感じていて、このままでは2016年にやり切ったと納得できないと思ったのです。それで環境が整っているアルカスクィーン熊谷に移り、会社(㈱新潮社)も休職して今年の6月から合流しました」

 「アルカスクィーン熊谷は全員が日本代表を目指しているチームなので、それぞれが日本代表になるための場、そして日本代表として世界に勝つための場と考えているので、選手個人としてもチームとしても、日本代表としても、オリンピックで金メダルを取ることが目標です」

 天の時、地の利、人の和が整ってこそ世界の頂点が見えてくる。

【竹内亜弥(たけうち・あや)】
1986年岐阜県生まれ。京都大学文学部卒業後、㈱新潮社に入社。大学卒業と同時に「ワセダクラブレディース」でラグビーを始め、「世田谷レディース」に移籍。
2013年に「IRB女子セブンズワールドシリーズ(IRB Women’s Sevens World Series)」の第二戦・アメリカ大会」で女子セブンズ日本代表に初選出。
2014年4月に「ARUKAS QUEEN KUMAGAYA」創部とともに移籍しキャプテンを務める。

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