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2014年11月10日

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小泉悠 (こいずみ・ゆう)

東京大学先端科学技術研究センター特任助教

1982年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。民間企業を経た後、2008年から未来工学研究所。09年には外務省国際情報統括官組織で専門分析員を兼任。10年、日露青年交流センターの若手研究者等派遣フェローシップによってモスクワの世界経済・国際関係研究所(IMEMO)に留学。専門は、ロシアの軍事・安全保障政策、軍需産業政策など。著書に軍事大国ロシア』(作品社)、『プーチンの国家戦略』(東京道堂出版)、『「帝国」ロシアの地政学』(東京堂出版)。『ロシアの軍事情報を配信するサイト「World Security Intelligence」(http://wsintell.org/top/)を運営。

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現代の世界は矛盾に満ちています。私たちは率直に、互いに問わねばなりません。我々は信頼に足るセイフティ・ネットを持っているか? と。残念ながら、現在のグローバルな安全保障システム及び地域的な安全保障システムが我々を激動から守ってくれるという保障も確実性も存在してはいません。このシステムは、深刻な弱体化、分裂、そして歪曲に晒されているのです。国際的及び地域的な政治、経済、文化に関する協力機構もまた、困難な時代を迎えつつあります。

そうです。我々が世界秩序を維持するために用いているメカニズムは、第二次世界大戦の直後を含む、かなり昔に創設されたものです。強調しておきたいのは、当時創設されたこのシステムの信頼性は、力の均衡と戦勝国の権利だけに依拠していたわけではないということです。このシステムの創設者たちは互いを尊重し、他者を圧迫しようとはせず、合意に達するよう努めたのです。

重要なことは、数々の欠陥はあるにせよ、このシステムを発展させ、少なくとも現在の世界の諸問題を制御し、国家間で自然に発生する競合の烈度を抑制できるようにしておく必要があるということです。

過去数十年、しばしば努力と困難を伴って我々が築き上げたチェック・アンド・バランスのメカニズムは、それに代わるものをつくることなく損なわれてはならないと確信します。さもなくば、我々は暴力以外に拠って立つものがなくなってしまうでしょう。

我々が必要としているのは、それを合理的に再建し、国際関係システムの現実に適合させることです。

 以上の発言に見られるように、プーチン大統領は第二次世界大戦後の秩序が今や危機に瀕しており、その一方、まだ新しい秩序が形勢されていないと指摘する。

 そして、このような世界秩序の転換の中で、「冷戦の勝者」を自認する米国が冷戦後の新たな秩序作りに真剣に取り組まず、超大国としての地位を誤って用いてきたことが現在の世界の矛盾を呼んでいるとプーチン大統領は指弾する。

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