2022年10月6日(木)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2014年11月27日

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中島厚志 (なかじま・あつし)

新潟県立大学国際経済学部 教授

東京大学法学部卒。日本興業銀行入行。パリ興銀社長、みずほ総合研究所調査本部長、経済産業研究所理事長などを経て2020年4月から現職。主な著書に『大過剰 ヒト・モノ・カネ・エネルギーが世界を飲み込む』(日本経済新聞出版社)。
 

 しかし、円安による物価高は好ましいことではないとしても、その中には行き過ぎとまでは言えない物価上昇と家計購買力の調整が入っていると計算されるものもある。そのひとつが、購買力平価で見た円ドル相場の評価である。

 購買力平価とは、自国と外国との物価を同じくする為替相場のことであり、円ドル相場については、73年時点を基準として、日米物価が同じとなる現在の水準をいくつかの種類の物価指数を使って計算できる(図表5)。家計に直接関係する消費者物価で計算すると、円ドル相場の水準は130円ほどとなる。

【図表5】円ドル相場(購買力平価ベース)の推移
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 もちろん、購買力平価は計算上のものであり、実感と一致するとは限らない。何より、73年時点の円ドル相場が日米物価を均衡させていたと仮定した計算であり、円ドル相場の購買力平価の計算には日米で販売されている同じハンバーガーの価格を比較するなどやり方は複数ある。

 しかし、この結果から言えることは、現在の120円に近づいている円ドル相場は73年時点と比べれば実質的にはなお円高だということである。それは、現状までの円安で今後輸入物価が上昇しても、まだアメリカの物価水準よりは割安とも見られるということである。

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