2022年8月9日(火)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2014年11月27日

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中島厚志 (なかじま・あつし)

新潟県立大学国際経済学部教授

1952年生まれ。東京大学法学部卒。日本興業銀行入行。パリ興銀社長、みずほ総合研究所チーフエコノミスト、経済産業研究所理事長などを経て2020年4月から現職。主な著書に『大過剰 ヒト・モノ・カネ・エネルギーが世界を飲み込む』(日本経済新聞出版社)。
 

 円安に過ぎるとの見方が出てくるひとつの理由は、主要通貨全体に対する円相場の実質的な水準を示す実質実効為替レートが大きく円安に動いていることである(図表3)。この間、物価差を勘案しない名目実効為替レートは円高に動いているので、日本がデフレであったことが最大の要因である。

【図表3】日本:実効為替レートの推移
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 もっとも、製造業の空洞化が2012年にかけて進んだことから、いくら実質的には円高水準ではなかったと言っても企業が万全に対応できてきたとは言い難い。それは、デフレや低成長の要因も大きいとはいえ、いままで企業の売上や収益が伸び悩んできた状況を見るに、企業が生産性向上や技術革新などで収益力と国際競争力を維持向上させながら円高を克服してきたようには見えないということである。

130円で日米消費者物価は同水準

 もうひとつ、現在の水準が円安に過ぎるとの見方では、輸入物価上昇で家計が打撃を受けることが挙げられる。ちなみに、最近の物価上昇は、消費税引き上げの影響を除くと、ほとんどが円安とエネルギー価格上昇で説明できる(図表4)。

【図表4】消費者物価(除く消費税要因)の推計
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 そして、図表4で示されているように、105円の場合と比べると、120円の円安水準では消費者物価は最終的に1.0%ほど上昇すると推計される。その分家計の実質的な購買力は減じることになるが、なかなか所得が上がらない中で、物価上昇が好ましくないことは言うまでもない。

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