2024年11月24日(日)

教師は聖職ですか? 現場が語るこれからの「先生像」

2014年11月28日

 前年に担任を受け持ったクラスから感謝を込めた色紙をもらったというAさん。丁寧に書き込まれた生徒たちのメッセージからは、Aさんが生徒から慕われていた様子がうかがえる。「生徒のためならどんなに働いても構わない。働ける」。そう話す一方で、Aさんはこう言う。

 「たとえば、世間ではブラック企業と言われる企業の商品を買ったり、その会社が運営する店を利用したくないと思っている人も多いですよね。でも教師に対しては、『こんなに(残業してまで)働いてくれてありがとう』という感覚。そして先生たちもできればその期待に応えたいと思ってしまうんですよね。ワークライフバランスは完全に破たんしていると思いますよ」

教師にインプットの時間はあるのか

(画像:istock)

 仕事と生活はどちらか一方では成り立たないものだ。平日の夜にリラックスした時間を持てるからこそ、休日にリフレッシュの時間を楽しめるからこそ、仕事に打ち込めるということはある。また、「24時間働けますか?」、そんな根性論は過去のものになりつつある。無理をして長時間働くことで時間あたりのパフォーマンスが悪くなっている側面もあるだろう。

 さらに、より良く仕事をするためには、自分の業種以外を知ることや世の中の変化に敏感でいることも必要だ。余暇の時間に行う読書が大切な閃きを与えてくれることもある。オンとオフの切り替えが必要である一方で、仕事と生活は切り離せないものでもある。

 未来を担う子どもと接し、教育をしていく教員たちにこそ、本来は「自分を磨く」時間が必要なのではないだろうか。それが教育に還元されていくからだ。子どもと身近に接する大人は魅力的な人であってほしい。そのためには自分の家庭を大切にすることも必要だ。

 しかし、これまでに指摘されているように、教育指導以外の雑務を減らし、教員が生徒と向き合う時間をしっかりと取れるシステムを構築することは大事だが、その一方で教員という特殊な職業にはこんな問題もある。

 「教員がどういう姿勢で生徒と向き合っているか、子どもたちはすごく敏感に察します。以前、学年が変わる時期に、あるクラスの担任が独身の男性から子どもが生まれたばかりの既婚男性に代わったことがありました。新しい担任の先生も一生懸命やっていましたが、生徒たちは前の独身の男性の方が良かったようです。『小さな子どものいる先生は、自分たちよりも自分の子どもを優先する人』と思っていたのかもしれません。そのぐらい思春期の子どもは教師をよく見ているし、ナイーブです」


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