2022年12月5日(月)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2014年12月22日

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中島厚志 (なかじま・あつし)

新潟県立大学国際経済学部 教授

東京大学法学部卒。日本興業銀行入行。パリ興銀社長、みずほ総合研究所調査本部長、経済産業研究所理事長などを経て2020年4月から現職。主な著書に『大過剰 ヒト・モノ・カネ・エネルギーが世界を飲み込む』(日本経済新聞出版社)。
 

 実際、社会保障負担を個人、企業、国に分けて見てみると、日本ではやや三等分に近いような割合となっているが、スウェーデンでは企業負担が個人負担の3倍ほどとなっており、なにより国の負担割合が全体の6割余りを占めている(図表5)。

【図表5】社会保障負担割合(2012年)スウェーデン・日本
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 社会保障の多くは、保険料を納めることに見られるように、相互扶助の考え方で成り立っている。事前に強制加入し、年金はもとより失業や病気といったリスクが発生した時に現金又は現物給付が保障される仕組みである。

 しかし、少子高齢化や経済危機など、いくら多人数で対応するとしても個人では対応しにくいリスクもある。くわえて、社会保障を高水準で充実するとなると、自ずと政府の手厚い関与が不可欠となる。

 スウェーデンと日本との主体別社会保障負担割合の比較で言えば、社会保障を充実させるには、低収益の日本企業としてはもっと収益力を向上させて負担力を上げることが必要となる。また、日本がスウェーデンのような福祉国家ではないとしても、もっと税金を投入することも欠かせない。

 この観点から、今回の消費税引き上げの先送りは、国民が社会保障の維持充実を先送りしたことに他ならないとも言える。加えて、消費税引き上げ判断のそもそもの前提として、国民がどの程度の社会保障水準を望むかも不可欠な観点である。

どのような福祉レジームを望むか
問われる日本の選択

 デンマーク出身の社会学者エスピン・アンデルセンは、主要国の福祉レジームを、高負担であっても高福祉を実現しているスウェーデン型の社会民主主義的福祉国家、政府の介入は最小限にしてなるべく個人の自由に任せるアメリカ型の自由主義的福祉国家、そして中小企業やキリスト教といった社会基盤が国民福祉の一翼を担っているドイツ型の保守主義的福祉国家に分類した。

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