2024年11月22日(金)

患者もつくる 医療の未来

2014年12月26日

 これらを見ると、今年の年末は、12月23日の休日が火曜日であることから、24日、25日のクリスマス頃にピークになり、例年通り、大晦日と新年のお正月の三箇日が少なくなるような出生数の変化のグラフをほぼ予想できてしまいます。

出生数の乱高下は病院も診療所も同じ

 厚生労働省が統計を公開している中で最も新しいデータである昨年(2013年)12月の出生数をグラフにしたものが【図4】です。2013年の1年間に全国で生まれた全ての赤ちゃんの数は102万9816人で、1日あたりで平均すると約2821人になりますが、やはり平日と休日等では出生数が大きく異なり、年末に近付くほど、その格差は拡大しています。

 この内、病院(ベッド数が20床以上の医療機関)で生まれた赤ちゃんは54万8744人で全体の53.3%、診療所(ベッド数が19床以下の医療機関)で生まれた赤ちゃんは47万1419人で全体の45.8%になり、合わせて99%以上になります。2013年12月の出生数を病院と診療所で分けたものが【図5】と【図6】です。

 病院も診療所もグラフの形はほとんど同じであることがわかります。

出生数の乱高下の原因は何か?

 本来の自然な出産は曜日を選ばないはずです。このようなグラフができる理由は、本来の出産(陣痛)が始まる前の平日に、何らかの医療の介入によって出産が早められているからですが、その医療介入には二種類あります。

 一つは、帝王切開の内、あらかじめ日時を決めておこなう予定帝王切開。もう一つは、子宮収縮薬(陣痛促進剤)などによって陣痛を起こさせる陣痛誘発です。

 帝王切開率は、前回のコラムで示したとおり、2011年のデータで病院は24.1%、診療所が13.6%で、その中の、緊急帝王切開の割合はそれぞれ、41.6%、36.0%ですから、あらかじめ日時を決めておこなう予定帝王切開の割合は、全ての出産の内、病院で14.1%、診療所で8.7%になります。

 少しややこしいですが、これらを計算すると、予定帝王切開のためにできる平日と休日の出生数の差は、概ね、病院では210人、診療所では160人くらいまでに収まるはずです。しかし実際は、その2倍以上、3倍近くの差ができています。

 その原因は、子宮収縮薬やメトロイリンテル(風船状のものを挿入して器械的に子宮口を広げることで陣痛を強める)や人工破膜(人工的に破水をさせて陣痛を強める)などによる分娩誘発です。少し前までは、「計画分娩」と呼ばれて、全ての妊婦に子宮収縮剤等を使用する医療機関が少なくなく、事故が多発する原因になっていると指摘されていました。そのために今も、使用する必要がない妊婦に使用して、事故に至っているケースが報告されています。


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