2024年4月20日(土)

患者もつくる 医療の未来

2014年12月26日

 子宮収縮薬については、1992年頃から事故の多発を受けて、その使用方法等を定めた添付文書の内容が、最大使用量をそれまでの半分以下に制限したり、筋肉注射で一気に投与することを禁じたり、他の子宮収縮薬や分娩誘発法との併用を禁じたり、など、これまでに再三大きく改訂されてきました。

 そして、さらに、2010年6月にも以下のような改訂がされたところです。

○母体及び胎児の状態を十分観察して、本剤の有益性及び危険性を考慮した上で、慎重に適応を判断すること。特に子宮破裂、頸管裂傷等は経産婦、帝王切開あるいは子宮切開術既往歴のある患者で起こりやすいので、注意すること。

○本剤の感受性は個人差が大きく、少量でも過強陣痛になる症例も報告されているので、ごく少量からの点滴より開始し、陣痛の状況により徐々に増減すること。また、精密持続点滴装置を用いて投与すること。

○患者に本剤を用いた分娩誘発、微弱陣痛の治療の必要性及び危険性を十分説明し、同意を得てから本剤を使用すること。

事故防止のために注意すべきことは?

 予定帝王切開術では、専門の麻酔科医がいるかどうか、また、術後の血栓のリスクと対応について説明されるかどうか、等が大事になってきます。説明がない場合は、納得できるまでの説明を求めるべきです。

 また、予定帝王切開がされる事例では何らかのハイリスクがある可能性が高いわけですから、新生児科医や最新の新生児蘇生法の講習を受けたスタッフがいるかどうか、輸血のリスクや対応について説明されるかどうか、等が大事です。また、診療所では、いざというときにどこに転送されるのか、などの説明も聞いておくべきでしょう。

 子宮収縮薬や、メトリイリンテル、人工破膜などは、いまだに十分な説明をせずに、行っている医療機関があることが報告されています。特に、子宮収縮薬については、その『必要性』と『重篤な副作用』について十分な説明が文書によってなされなければいけません。「妊婦さんとその家族は必見 安全なお産のために『陣痛促進剤』について知っておこう」や、「出産時の事故から身を守る 重度脳性麻痺とずさんな医療」をご覧になった上で、ぜひ、事前に妊婦本人や家族が子宮収縮薬の使用について、事前に主治医に尋ねておくことが、漫然と事故が繰り返されることを防止するためにとても重要だと思います。

  
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