2024年11月23日(土)

日本の漁業は崖っぷち

2015年1月5日

2060年までに現在の10倍の
輸出金額を目指すノルウェー

 ノルウェーの2014年の情報も入ってきています。水産物の輸出金額は、過去最高であった2013年を11月の時点(615億クローネ=約1兆512億円)ですでに上回っており、2年連続で過去最高を更新する見通しとなっています(2014年12月11日付みなと新聞)。

 ちなみにノルウェーのエリザベス・アスパカー漁業大臣は、2060年までに現在の10倍の輸出金額を達成できる潜在力をもっていると発言しています。漁業者の2014年の平均年収見込みを漁業協同組合に聞いたところ、少なくとも他の仕事よりは高い、約60万クローネ(約1,000万円)位という返事でした。ロシアの禁輸による影響が懸念されましたが、日本を始め、それ以外の国々がその分の魚を吸収する形となっています。

 ノルウェーでは、天然魚(サバ、ニシン、マダラ他)と養殖魚(アトランテックサーモン・トラウト他)が輸出における両輪となっています。現在、ニシンの資源量が減少傾向にありますが、サバ、マダラといった魚種の資源が増加しており、全体としてはよくバランスが取れています。また、一旦資源が減少しても必ずと言っていいほど、数年で回復しています。

 世界中のバイヤーも、それをあてにしています。日本のように「赤字拡大、所得も減、漁船漁業は個人、会社ともに最悪!」ということにはならず、真逆の好結果が続いているのです。数字だけではなく、実際に漁船や養殖場、加工場などを見れば、さらに一目瞭然で「何で日本とこんなに違うのか!」と感じずにはいられません。

 また、養殖にしても資源管理が強く意識されています。アトランテックサーモンのエサは魚粉(フィッシュミール)で作ります。最近では魚粉の需要が世界中で高まり、価格が上昇しているために、魚粉以外の原料などを混ぜて比率を減らす工夫がされていますが、あまりに減らせば病気の発生や味への影響が出てきます。いずれにせよ養殖にとってエサの確保は非常に重要です。そこでイカナゴなど、食用として商業価値が低い魚種まで、しっかりと漁獲枠を設けてエサ用も含めて資源を管理し、養殖でも成長を続けています。


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