2024年4月19日(金)

日本の漁業は崖っぷち

2015年1月5日

 このパターンは魚を獲り過ぎた漁業者が悪いのでしょうか? いいえ、漁業者は魚を獲るのが仕事、それをやめさせられなかった国に問題があるのです。かつて日本のニシンやハタハタ(第12回参照)は、産卵場で乱獲を続けた結果、資源を破壊してしまいました。同じような過ちが、様々な魚種や漁場で繰り返されているというのが現実です。

 しかも、その事実はほとんど知られていません。欧米では、資源管理がされていない魚を食べない様、消費者や環境保護団体が動きます。流通や外食産業もそれに同調します。資源管理されている魚かどうかは、水産エコラベルなどによって消費者に分かるようになっています。このラベルの有無によって、魚価が変わってしまうという経済的要因が発生するために、漁業者も敏感に反応して資源管理を意識します。

 一方、日本の場合は、資源管理や水産エコラベルの有無は、魚価にも販売にも直結していません。経済的な要因が絡まないために、反応が薄く、いつの間にか魚が減っていくという悪循環に陥ってしまっているのです。この悪循環を阻止するためにも、一般の消費者が資源管理の重要性をもっと知ることができる場が提供される必要があります。

  
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