2024年4月26日(金)

Wedge REPORT

2015年1月27日

 まだ、多くの人に見せているという状態にまでは至っていないが、性能の高いDK2の登場で、「マンションの販売時に、実際に購入を検討する人の判断材料としてVRを利用するケースは、今後、多数出てくるだろう」と予測している。

 2014年4月に幕張メッセで行われた「ニコニコ超会議3」のコンサートイベント「超パーティ3」では、全天球カメラで撮影したライブ生放送も実験されている。ブラウザ上でスクロールする形で提供されたが、OculusFiftへの対応に向けての開発が続いている。コンサートといったイベントとのVRの相性はよいとみられており、早期にビジネスが立ち上がってくると考えられる。

 全天球カメラで録画した動画は、研究所の展示なので、すでに利用が始まりつつある。国立天文台(東京・三鷹)では、星と宇宙の日の10月25日に、チリの標高5000メートルのアタカマ高地にあるアルマ望遠鏡の様子を、OculusRiftを通じて見る展示を行った。星空が頭を向けた方向のどこにでも表示される没入感のインパクトはかなりのものだったようだ。

 「どこを向いても、アタカマ高地の別世界という経験は(体験する人には)格別らしい。全天球動画には期待せざるを得ない」と、過去に国立天文台のプロジェクトに関わってきた額谷宙彦氏がツイッターで発言している。

 実際に行くことが難しい場所を、全天球動画によってバーチャルツアーを提供することは、VRの魅力を一般に認知させる高い可能性を持つと考えられている。全天球カメラの値段も、急激に安くなりつつあり、20万円程度で手に入る。今後数年でさらに安い機種が登場するのは間違いなく、様々な映像が発表されるようになるだろう。

 もちろん、普及のためには課題がある。VRの体験者が、車酔いに似た気持ちの悪さを生みだしやすいという深刻な技術上の問題があり、どうすれば解決できるのかは、ハード、ソフト両面から模索されている最中だ。

 OculusVRは、来年に一般ユーザー向けバージョンの発売を行うための準備を進めているとみられている。映像はスーパーハイビジョン画質となり、VRの世界に自分が存在しているとしか感じられないほどの迫力を持つという。まだ、誰もが使うという段階になるには、時間がかかるかもしれないが、普及が進むプロセスでも、VRは新しいビジネス分野を次々に切り開いていくだろう。

  
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◆Wedge2014年12月号

 


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