2015年1月10-16日号の英エコノミスト誌は、インドネシアが石油補助金を撤廃し、財政の先行きが明るくなった、と報じています。
すなわち、インドネシアは1月1日に石油補助金を撤廃し、同国の石油価格は数十年ぶりで世界市場を反映することになった。
この問題では、ユドヨノ前大統領が市民の激しい抵抗にあって挫折したが、今回、反対運動は起きなかった。これは、世界的な原油安のおかげで、補助金なしの石油価格はリットル当たり7600ルピアと、補助金付きだった12月の8500ルピアを下回った。
インドネシアでは、石油補助金は時に国家予算の5分の1を占めるなど、大きな財政的負担になってきた。しかも、恩恵を受けるのは貧困層よりも車を持つ中産階級だった。
今回の撤廃による節約分は約160億ドル、一部は昨年の補助金の支払い等に使われるが、それでも政府の手元には相当な資金が残る。
具体的な使途は今月後半、修正予算が発表された時に明らかになるが、ジョコウィ大統領が力を入れたいのは保健、教育、インフラ整備である。
世界銀行はインドネシアの今年の成長率を5.2%と予測、これは1990年代半ばの7%には及ばないが、長期的にはインドネシアの見通しは明るい。インフラが整備されてくれば、輸送コストが下がり、外国からの投資も増える。健康で教育を受けた労働力は、第一次産業への依存を減らし、サービス部門、そして半導体やスマートフォン等、付加価値の高い製造業で働くようになるだろう。
そして、懸案だった石油補助金問題を片付けた今、ジョコウィ大統領は錯綜した税制や規制当局の整備、官僚制の改革等の問題に取り組めるようになった。原油安という幸運に恵まれたスタートと言える、と報じています。
出典:Economist ‘A good scrap’ (January 10-16, 2015, p.26)
http://www.economist.com/news/asia/21639179-jokowi-abandons-asteful-fuel-subsidies-fiscal-prospects-brighten-good-scrap
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最近の原油価格の急落は、ジョコウィ政権にとって「ボナンザ」(大当たり)でした。