これまで政治的に難問であった石油補助金を撤廃することにより、ジョコウィが2014年5月の「政権公約」に掲げた分配重視政策を実施する財政的ゆとりが生まれました。貧困層を対象とする無償医療サービス、12年間の義務教育の無償化、現金給付を含む生活保障サービスが具体化されます。ジョコウィ政権にとっての大きな政治的成果となります。
同時に港湾、鉄道などのインフラ整備にも財源が向けられます。これはインドネシア経済の中長期発展にとって望ましいものです。
インドネシアはアセアンのリーダーであり、インドネシアの経済の見通しが明るいことはアセアン全体にとってプラスとなります。
原油価格の下落は、インドネシアの外貨事情にも好影響を与えます。東南アジア有数の産油国であったインドネシアは、1950年代に生産を開始した老朽油田が多い半面、新規油田開発が進まず、他方で経済の発展に伴い石油に対する産業用、民生用の需要が大幅に増加し、2004年以来石油・原油の純輸入国となり、赤字幅は年々増大しています。今回の原油価格の下落で石油・原油の輸入価格が減り、インドネシアの対外ポジションにとってプラスとなります。
原油価格の下落は、すべての原油輸入国に好影響を与えますが、インドネシアはその恩恵を最大限活用しようとしているようです。
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