始末とは面白い言葉だ。「始末する」は片づけることだが、「この始末だ」は成り行きのこと。「始末屋」は倹約家で、「始末書」はお詫び状。始末の核心を言い当てるのは難しい。
駅のホームの先端(黄色い線の外側)や歩道橋の階段などに使われている「ノンスリップタイル」を生産する中村建材工業所は、東近江市五個荘にある。
五個荘は天秤棒一本で全国を行商した近江商人発祥の地。五個荘に建つ近江商人博物館を訪ねてみると、商家の家訓のコーナーで新たな始末に出会うことになった。
しまつして、きばる──。
商売相手の利益を優先した近江商人は「きばって」薄利を継続することで、長期的な経済合理性を求めた。これが「しまつ」だという。
始末を尊ぶ風土は、果たして中村建材にも浸透しているだろうか。
