2026年5月23日(土)

つくりびととの談い

2026年5月23日

 始末とは面白い言葉だ。「始末する」は片づけることだが、「この始末だ」は成り行きのこと。「始末屋」は倹約家で、「始末書」はお詫び状。始末の核心を言い当てるのは難しい。

 駅のホームの先端(黄色い線の外側)や歩道橋の階段などに使われている「ノンスリップタイル」を生産する中村建材工業所は、東近江市五個荘にある。

ノンスリップタイル。大勢の人が毎日踏むからこそ、頑丈かつ丁寧に造られるのだ(写真・大西史晃 以下同)

 五個荘は天秤棒一本で全国を行商した近江商人発祥の地。五個荘に建つ近江商人博物館を訪ねてみると、商家の家訓のコーナーで新たな始末に出会うことになった。

 しまつして、きばる──。

 商売相手の利益を優先した近江商人は「きばって」薄利を継続することで、長期的な経済合理性を求めた。これが「しまつ」だという。

 始末を尊ぶ風土は、果たして中村建材にも浸透しているだろうか。


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