2026年3月22日(日)

つくりびととの談い

2026年3月22日

 「筒の中光りたり。それを見れば、三寸ばかりなる人いとうつくしうてゐたり」(『竹取物語』)

 ステンレス製ドラム缶と鋼製特殊容器のトップメーカー・日本製缶工業を訪ねると、そこはまさに〝光る筒〟の林。銀色に輝くステンレスドラム缶が随所に積み上げてある。

約30キログラムのドラム缶を軽々と積み上げる野口真弘さん。「仕事が大好きです」と話す(写真・Bond 大西史晃 以下同)

 ビシッとしたスーツ姿の四代目社長、郡修平さん(41歳)が言う。

 「国内でステンレスドラムを製造している会社は7社だけですが、そのうち6社は鉄がメイン。ステンレスメインはうちだけなんです」

 そもそも日本製缶工業は鉄製の量産品ではなく配管部品などを取り付けた特殊品を得意としてきたが、昭和50年代の後半から、ユーザーが充填する内容物の高度化に応じてステンレス缶の比率を増してきた。

 それにしても郡社長、スーツがよく似合う。胸板が厚いからか。

 「実は、中学から大学までずっとラグビーをやっていたんです。就職するまでラグビーしかやったことがなくて、今になって、もっと授業を聞いておけばよかったと思いますね」

 元ラガー・マンなら、チーム・ビルドはお手の物だろう。

 「いやいや、メンバー全員が全国一を目指しているチームと、社員それぞれが違うベクトルを持っている会社の経営はまるで違います。社員みんなのベクトルを合わせて、しかも利益を出すのは難しいことです」

 どんな切り口で、社員の心をまとめているのだろうか。

 「先代は『うちはええもん作らなアカン』が口癖でした。そのおかげで、いいものを作ろうというマインドは全社員に共通していると思います」

 いかにも平易な言葉だが、この後、とてつもなく熱い物語を聞かされることになるとは思わなかった。

ドラム缶に社名などを入れる電解マーキングの機械。オーダーメイド品も多く、全て手作業で行う

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