入社初日の固い約束
仕事の話がヒートアップし……
今回のつくりびと、野口真弘さん(42歳)は、口数の少ない温和な印象の人物である。出身は、だんじり祭で有名な大阪府岸和田市。
「よく、岸和田出身にしては静かだと言われます」
高校を卒業していったん就職したものの、仕事が合わずに退社。転職先を探している最中に兄が結婚し、そのお相手の父親に誘われて日本製缶工業に入社することになった。
お相手の父親は日本製缶工業の専務。野口さんの初出社日には、自ら会社に連れていってくれたという。
「JR大阪駅の環状線のホームで待ち合わせたのですが、専務から『俺とお前は親戚になったけど、だからといってお互い言いたいことを言われへんようになるんやったら、お前を会社に連れていかへん』と言われて、ものすごく感動しました。ホームの上でがっちりと握手しました」
専務も野口さんも大の酒好き。入社後は毎晩、数人の社員と一緒に飲みに出かけるようになった。
「専務はほんまの親分肌の人で、社員が退社のタイムカード押した瞬間に、『よっしゃ、みんな飲みいくでぇ』と大勢を引っ張っていくんです」
野口さんは環状線のホームでの固い約束を守り、酒の席で言いたいことを腹蔵なく専務にぶつけた。
「そしたら、むちゃくちゃ怒るんです。お前、何言うてんねん!って大声で怒るんですよ」
話が違う……。
専務と若手数人で沖縄旅行に行った際には、現地の居酒屋で激論になり、店から二度注意を受け、三度目には「出て行ってくれ」と宣告されたというから、専務と野口さんのバトルは半端なものではなかった。
