2025年12月5日(金)

つくりびととの談い

2025年11月2日

 名鉄常滑線の名和駅を降りると、かすかにゴムが焦げるような臭いがした。

 常滑線の沿線には東レ、三菱重工、日本製鉄など大企業の工場が点在し、その隙間を埋めるようにいくつもの中小企業が軒を連ねている。

 その中小企業群の中でひときわ異彩を放っているのが、従業員わずか26人の加藤精密工業である。

電動工具で金属を研磨する榊原さん。繊細な作業ほど磨き上げたセンスが頼りになる(写真・Bond 大西史晃 以下同)

 二代目代表取締役の加藤義春さん(65歳)によれば、先代は大工が使う自動カンナを作っていたという。

 「それほど能力の高くない機械だったし、時代とともに機械も変わっていくもんで、あまり売れなくなってしまったんです」

 会社と同時に借金も引き継いでしまった加藤さんは、このままでは未来はないと木工から鉄鋼に事業を転換。大企業から仕事をもらうため、がむしゃらな営業を繰り広げた。

 「うちの合言葉は、やります、やれます、やって見せます。これを作れるかと聞かれたら、たとえ作り方がわからなくても、はい、できます!って答えるんです」


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