咲人が実験台になることを、遥香(栗山千明)に勧められて、花のデリバリーサービスの社長(萩原聖人)は「いまのままの咲人でいい」という。
友人の企みがきっかけとなって、咲人と知り合った女子大生の河口梨央(谷村美月)も、咲人が知恵遅れとわかっても交際を続けるという。咲人と会社の寮で同室の檜山康介(工藤阿須加)も暖かいまなざしで彼に接している。
「おりこうになる」とはいったい何なのか。それは現代社会に適合して生きるとは何なのかを問うものである。そして、生きる幸せとはなんなのか。
人は自らを変えなければ、いまの社会に適応できないのか。それは、若者たちが直面している心の切迫感である。
その解決策が容易に見いだせるものではないだろう。しかし、このドラマの結末に観客が感じるカタルシスがおそらくその助けになるのではないか。
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