このハッシュタグをつけてつぶやいていたのはコピーライターのような専門職の人ばかりでなく、学生や主婦なども参加。大喜利のような要領で気軽にコピーやアイデアが集まるのも、インターネット文化の特徴のひとつと言える。
筆者もこのハッシュタグに参加して、いくつかのコピーをツイートしたのだが、コピーの種類は大きくわけて2種類に分かれるようだった。ひとつはドローンの「無人機で自由に空を飛べて、手軽に空撮が楽しめる」というポイントを訴求したもの。もうひとつは「ドローン自体が悪いのではなく、使い方を間違える人が悪い」という考え方のものである。
このコピーの募集を行った背景には、ドローンに対するイメージアップが狙いにあったはずだが、ほかにどのような考えがあったのだろうか。「コピーライッター コピーライターbot」の運営者である株式会社カヤックのコピーライター・長谷川哲士さんに、「ドローンを肯定するコピー」の募集を行った理由を聞いてみた。
「弊社でコピーライターを募集しているので、このハッシュタグで良いコピーを書ける人を見つけられないかなと、軽い気持ちでやりました。テーマをドローンにしたのは、ネガティブをポジティブに変えるのなら、コピーが書きやすいかなと思ってです。あと、Winnyがいい例かはわかりませんが『事件が起きたから厳重に法規制』をして、その結果、技術革新の妨げになり、日本にお金が落ちる機会を損なったらイヤだなという気持ちもありました」(長谷川哲士さん)
どの時代にも生まれる「新たなものへの脅威」
ドローンに限ったことではないが、いつの時代も「新しいもの」は一度は社会から洗礼を受け、批判され、否定されてきたように思う。出る杭は打たれる風潮が強すぎては、伸びるものも伸びない。今後ドローンの規制が強化され、それが極端に窮屈なものになった場合は、ドローンに関する日本の技術力は諸外国に置いてけぼりを食う可能性がある。
技術革新と安全遵守はときに相対することもあるが、ドローンに関しては今まさに、ちょうどよいあんばいが求められている。「自由な開発・競争環境」と「開発者やユーザーのモラル」の両輪がうまく機能して初めて、バランスのよい規制が整う。日本の技術力は世界に向けて再び走りだすことができるだろうか。
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