田部康喜のTV読本

2015年5月27日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

大河ドラマのパロディも

 一子の売り込みのかいもあって、遼は長時間のサスペンスドラマの端役に起用される。第3回「そのセリフに、愛を。」(4月28日)である。

 遼の役は、中華料理屋の出前。主役で犯人役の中里麗子(真野響子)は、過食症でたくさんの料理を頼んでいる。テーブルに料理を並べながら、遼のセリフは「あんた、おかしいよ」の一言だった。

 巨匠といわれる監督がなんどもダメを押す。「愛がない」というのである。

 遼も一子もその意味がなかなかわからない。

 犯人が自首するきっかけが、そのセリフであり、自分の愚かさにきづくきっかけとなる。ほかの時代劇ドラマのスタジオから、一子が持ち出してきた「愛」の旗指物がおかしい。大河ドラマ「天地人」で、主人公の直江兼続が掲げた「愛」のパロディーである。

 そもそもドラマの題名が「カショクの女」とあって、まさか過食とは、と一子は驚くのだった。

 第4回「涙のハローマイラブ!(5月5日)」は、遼が同じ事務所の、たどころのデビューと一曲だけのヒット曲にまつわる再現ドラマを演じる。たどころの人生について、インタビューとこのドラマが交互に構成されている。たどころは、ヒットしたあと生活が乱れて妻子に家をでていかれる。一子は話題作りに妻子にも番組に登場することを頼みにいくが、断られる。

 遼の演技はプロデューサーから高く評価される。ただ、「ハローマイラブ!」を歌う段になって、遼が音痴であることがわかる。微苦笑である。

 そして、たどころの娘が、花束をもって事務所を訪れる。美しく成長した娘を涙で迎える、たどころ。花束は当然、自分のところに持ってきたものと思った。しかし、それは遼に差し出された。「ファンになりました」と。涙と笑い、である。

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