世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年6月8日

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 上記論説が言うように、「中ロ接近」に恐慌を来す必要は毛頭ありませんが、一定の対応は必要です。特に、中ロは当面、歴史問題で日本にも圧力をかけてくると思われます。日本の北方領土要求や尖閣支配は「戦後の現実を変更しようとする企て」だと言い立てるでしょう。これは、得意のプロパガンダなので、日本は、正面から応ずる愚は避け、「尖閣、南シナ海、クリミア等は戦後の安定を力で変更しようとする企てで、世界全体にとって危険」というメッセージを発し続ければ良いと思います。

 中ロは共同軍事演習等で、日本、米国に軍事的示威も行ってくるでしょう。日本は日米同盟を強化し、軍事的圧力は適正にはねつけると同時に、「こういうことでは協力が難しくなる」とのメッセージを、中ロ両国に別個に発することが有効でしょう。同時に発すれば、中ロを敵に回した印象を与え、両者の提携をあおることになるからです。

 現在、中ロの外交のベクトルは違う方向を向いています。中国は米日ASEANとは当面矛を収め、「一帯一路」と称して西進に重点を置く構えです。ロシアにとっても、日本の支援は特に極東において不可欠であり、日本の協力を引き出すための裏工作も続けています。

 中国の西進は、中国の関心が太平洋方面から転ずることを意味するので、日本にとっては好材料です。日本のマスコミは中ロの野合によってユーラシアが両国に牛耳られてしまうとの論調を張っていますが、ユーラシアの中小国も独立国であり、中国あるいはロシアだけになびいてしまうことはありません。また、ユーラシアの内陸部は人口も経済力も劣るので、日本が全力を傾けるべき対象ではありません。日本は海洋国家ですから。

 但し、これまで築いてきた中央アジアにおける日本の足場は、ある時は中国を助け、またある時はロシアを助けることにも使えるので、日本の対中・対ロ外交上の一つの道具ともなります。

  
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