最後に警告する。相殺戦略は、核抑止の論理が有効であることが前提になっている。しかし、「危険を犯す競争」で勝てると思えば、敵は相手の技術的優位を前に核の瀬戸際作戦に走る可能性がある、と報じています。
出 典:Economist ‘Who’s afraid of America?’ (June 13-19, 2015)
http://www.economist.com/news/international/21654066-military-playing-field-more-even-it-has-been-many-years-big
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「第三の相殺戦略」は、米国が再び世界での軍事的優位を確立しようとする努力の一環です。
米国が、アフガニスタンやイラクでのローテク戦争に集中している時、他国、特に中国が軍事力を高め、米国の技術優位を脅かすようになってきました。そこで、米国は、「第三の相殺戦略」を打ち出す必要を認識しました。したがって「第三の相殺戦略」は中国の軍事能力の増大を念頭に置いたものであると言ってもよいでしょう。
「第三の相殺戦略」の中核的技術は、高度な自律性を備えた無人機や無人潜水艇などのロボティクス、それらの運用を支える強靭性の高いネットワーク、次世代長距離ステルス爆撃機、電磁レール・ガンとレーザー・ガンなどです。これら技術の開発に必要な研究の多くは、シリコンバレーなどの民間ハイテク企業が行っていると言われます。歴史的にはいわゆるdual use 技術(軍事・民生の両方に利用可能な技術)はコンピューターのように、まず軍事技術として開発され、後に民生用に広く使われるようになったものが多いですが、最近ではカーボン・ファイバーのように、まず民生用に開発され、それがのちに軍事用にも使われるようになったものが増えています。最近注目を集めているドローンは典型的なdual use技術です。論説は、英国を念頭に同盟国の協力はあまり期待できないと言っていますが、ロボティクスをはじめ、民生用技術が得意な日本は協力する余地が十分にあります。
米国が世界で軍事的優位を維持することは日本の安全保障にとっても極めて重要です。さる4月に新日米ガイドラインが策定され、10月には、新たに「防衛装備庁」が設置されることもあり、日本は米国の「第三の相殺戦略」確立に向けて、防衛技術面で積極的に協力すべきでしょう。
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