キャサディー・ポープが歌を披露する間、3.66メートル x 4.88メートルのスペシャルオリンピックス旗が、長野五輪フィギュアスケート銀メダリストのミシェル・クワンを含む8人で運ばれ、掲揚された。また、聖火トーチによる点火式では、アブリル・ラビーンがFlyを歌い上げた。
スティービー・ワンダーは、「あなたがたは、世界で特別な人。あなたがたはその勇気や、あなたがたが愛することで世界をよりよくしたいと思う願いによって、日々、違いを生み出す人たちだ」とスピーチした後、Fear Can’t Put My Dreams to Sleepを熱唱。彼は、1999年のアメリカと2011年のギリシャで開催された世界大会の開会式でも、パフォーマンスを行なっている。
それでは、SOにはどのような人がいるのだろう。たとえば、SOの南カリフォルニアでゴルファーとしてデビューしたワイアット・イレスくんをみてみよう。彼は1歳半で、突然、言語を失い重度の自閉症を患った。しかし、4歳のある日、父がつけたゴルフのテレビ番組に「これ何?」と反応した。どうやら、自分の情熱を表現できたようだ。そこで、父親は、ゴルフに興味を示し、声を発したことに一縷の望みをかけた。
さっそく、ワイアットくんをゴルフに連れ出し、SOに参加。「期待どおりに物事が進まないと、かんしゃくを起こすのが自閉症の特徴。しかし、ゴルフを通して自分自身をコントロールすることを学んできた」。
8月4日で14歳になるワイアットくんは、2013年には全米ジュニアゴルフチーム18人の選抜メンバーだった。また、カリフォルニア州知事とクリスマスツリー点灯式にも参加。彼は、通常ではなかなか得られない機会を手にしている。「自分が持つ障害に、がっかりすることはない。あなたはあなたであるべきだ」。こう語るワイアット・イレスくんの言葉には、多くの人々に感動をもたらしている。
ボストンからボランティアスタッフとして訪れた男性は、「自分の能力がどのようなレベルでも、純粋にスポーツを楽しむことができる。それを見せてくれるすばらしい大会だ」と、目頭を熱くする。「165カ国の選手たちが争うことなくひとつの場所に集まり、喜びであふれるなんて、まさに団結だ」「私はアメリカ人だけど、両親はインド人。どこの国に勝ってほしいかは、私には関係ない。ただ、選手がみんなから愛されていることを感じて欲しい」。当日は、このような観客の声が聞かれた。最後は、打ち上げ花火と共に開会式が閉幕し、世界大会がスタートした。
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