折鶴と平和記念像のデザインで
世界に恒久平和の大切さを発信した長崎
一方、長崎にはJ2リーグに所属するサッカークラブがある。現役時代「アジアの大砲」と呼ばれた高木琢也氏が監督を務めるV・ファーレン長崎である。V・長崎は、原爆投下日前日の8月8日と、8月23日のホームゲーム2試合で平和祈念ユニフォームを着用する。
「祈り」をテーマにしたユニフォームシャツは、祈りの折り鶴模様と折り鶴の展開図をプリント。また、長崎の平和を象徴する「平和祈念像」のシルエットが配置された長崎らしいデザインで、「より広く原爆の悲惨さと平和の尊さを喚起できるデザイン」(V・ファーレン長崎広報)にしたという。
「PEACE Match」と題して行われた8日のホーム戦では、長崎でサッカーをする小中高の子どもたち1300人がPEACEの人文字を作るイベントも行われた。MFの梶川諒太選手は「V・ファーレン長崎、サッカーを通して、一人でも多くの方々が平和に関心を持ってくれれば嬉しく思います」と話した。
長崎出身の高木琢也監督は、「原爆が投下された8月9日の前日に、このユニフォームでプレーしたことは非常に意義深いことです。また、改めて今われわれがサッカーをできる環境、そして、皆さまに応援していただいている状況に感謝をしなければいけないなと感じることができた一日でした」と語った。
野球とサッカーという日本における二大スポーツのチームが行ったことに、より意義が感じられる今回の取り組みだが、71年目となる来年以降、これをどうつなげていけるか、がまた新たな課題となる。
広島と長崎の今年の平和祈念式典を見ていても、日本のというよりも、広島と長崎の出来事ということがより感じられた原爆投下70年。2つの地域の歴史ではなく、日本全体の問題として考え、どう関わることができるか。戦後70年、野球とサッカーのプロチームが投げかけた波紋を、今後スポーツがどう広げていくのか、注目していきたい。
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