“夫向き”の人を好きになれない
「ネット婚活は珠玉混合」という意味で言うと、奈央さんは、別のサイトに誘導されたBというサイトで、ほかにも何人かと知り合った。そのうちの一人とは、何度かメールのやりとりをして、実際に会ってもきた。
通信会社に勤めるバツイチで、2歳年上の38歳。別居しているが子供もいて郊外にマンションを持っている。
「学歴も申し分ないですし、見た目もこの通り、割とかっこいいんです」
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スマホに取り込んだ写真を見せてもらうと、爽やかでカジュアルな30代が写っていた。
「彼がバツイチであることも、子供がいるということも、それほど気にはならないんです。だけど……面白くないんですよ」
と、彼女は声をひそめて言った。
話をしていても、弾むことがなく、次に会うのさえ重荷なくらいだ。
「向こうは私を気に入ってくれてるのですが、どうにも気持ちが乗りません。あー、もうお見合いも始めちゃおうかな」
朝会を主催した女性の結婚相談所に「入れてもらおうかな」と言うのだ。
笑顔が出始めた彼女を見て、
「じゃあ、また聞かせてくださいね」
と私は締めくくった。
彼女は晴れやかな表情になって、「またご報告させてくださいね」と軽やかに立ち上がった。
“結婚向き”でないと言われ……
それから10日後。私はまた、彼女に会った。
この間に、彼女は相談所に入る準備を進めていて、入会金10数万円を支払い、指定された写真館でプロフィール写真も撮ってきた。しかも、写真を撮るにあたっては、適当な洋服がなかったので、相談所の人についてきてもらい、ワンピースと白のブラウスの2着をデパートで購入した。
写真代が3万円で、洋服が2着で3万円。相談所の入会金と合わせて20万円ほどを一気に払った。