2024年7月15日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年9月3日

出 典:Frederic C. Hof & Rafik Hariri‘The self-government revolution that’s happening under the radar in Syria’(Washington Post, July 26, 2015)
https://www.washingtonpost.com/opinions/the-self-government-revolution-thats-happening-under-the-radar-in-syria/2015/07/26/05cffade-313e-11e5-8353-1215475949f4_story.html

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 上記論説は、シリアの反政府地域で、地方評議会の自治活動が広まっており、これがアサド政権後のシリア政治の基礎となるであろう、と言っています。

 この自治活動はあまり報道されていませんが、論説によれば、シリアの反政府地域でかなり広範囲に、しかも多岐にわたって行われているようであり、注目に値します。

 しかし、アサド政権崩壊後に、この自治活動がシリア政府の基礎となるかどうかは別問題です。

 シリア全体を治める中央政府となると、国の統一が最大の課題となります。アラウィ派、クルド族をどうまとめていくか、ISにどう対処していくか、400万人に上るシリア難民をどうするかなどの難問に直面しなければなりません。それは地方の自治とは次元の異なる問題であり、強力な中央政府と軍、治安機関が必要となります。

 中東では、長年続いた独裁政権が倒れた後、政情が乱れ、事実上の分裂国家、あるいは破綻国家となった例が多いです。イラク、リビアがそうであり、エジプトは軍事政権に逆戻りしています。長年の独裁政権下、民主主義が育つ状況になかったのです。

 シリアでもアサド家の独裁政治が40年間続いています。最近のシリアの分裂で、反アサド地域でいくら地方自治が進んでいるとはいえ、アサド政権崩壊後、国政レベルでも自治活動が政治の中心になるには時間が必要と考えられます。

 論説はいかにも米国人らしく、アサド後のシリアの政治の民主化に期待していますが、期待度を下げ、地方レベルの自治が国政全体に広がるのを忍耐強く見守り、これを支援するのが現実的と考えられます。

  
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