2024年12月22日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年9月23日

 元米海軍大将のラフヘッドが、米国の北国評議会議長国就任(2015年から2年)を機に、北極海での石油・ガス資源探査をロシア、中国に伍して活発化させるよう、オバマ大統領に求める論説を、8月25日付ウォールストリート・ジャーナル紙に寄稿しています。

画像:iStock

 すなわち、アラスカでのGlacier会議(北極圏の環境問題等についての外相レベルの国際会議)を前にしてオバマ大統領は、地球温暖化問題への対応強化を誓う談話を発表したが、北極地方の資源を確保するための戦略的対応も同時に強化してもらいたい。

 ロシアはペチョラ海のPrirazlomnaya鉱床で2014年原油採掘を開始し、約220万バレルを採取している。中国も北極海の資源確保を念頭に、周辺で利権を買いあさっている。

 ロシア、中国は単なる資源の入手を越えたことをやっている。ロシアは地域に6000名の兵士を増派し、レーダーその他センサー網を構築している。そして国連の大陸棚限界委員会に大陸棚延長承認を申請し、200カイリの経済専管水域からさらに100カイリまで管轄権を及ぼす構えでいる。中国も北極圏の国でないにもかかわらず、砕氷船を派遣したりしている(注:ウクライナ、フィンランド等に発注したもの)。

 これに比べて米国の無為は際立つ。2007年にチュコト海沖鉱区の利権売却で数十億ドルの歳入を得た後は、この地域の資源開発についての政治的意思と行政的ノウハウを構築していない。

 原油価格が下がり、シェールオイルの見通しもいい時に、北極への対応を面倒がる気持ちはわかる。しかし、米国は原油国内消費の40%を相変わらず輸入に依存、その半分はOPEC諸国に依存している。

 優柔不断にけりをつけねばならない。最近National Petroleum Council、政府の監督・規制諸省庁、NGO、環境運動家、産業界リーダー、アラスカ原住民代表が揃って発表した報告は、連邦政府がアラスカ沖北極海開発を直ちに促進することを求めている。


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