街道化で何より大きいのは、観光客の滞留時間が伸びたことだ。いくつものガーデンを散策しながら、街道をゆっくり旅しようと思えば、最低でも2泊3日は必要だ。この地域のハイシーズンは6月から7月にかけての花のシーズンで、ホテルは軒並み満室になる。逆にスキーリゾートはこの時期オフシーズンだったが、街道化したことでお客が増え、今やフル稼働になった。
街道沿いにあるホテルを「オフィシャルホテル」に認定、それらのホテルで「ガーデンランチ」と銘打った昼食を提供するなど、街道化の効果を周辺に広げる工夫も凝らした。点から線になった街道が面に広がりつつあるのだ。
街道を行く人が増えて、地域全体が活性化したのは間違いない。地元のバス会社とタクシー会社が協力、路線バスとタクシーを組み合わせてガーデンを巡るパッケージを売り出すなど、事業に広がりが出始めた。
東日本高速道路(NEXCO東日本)がサービスエリアなどに「北海道ハイウェイガーデン」を作り始めたのも、ガーデン街道との相乗効果を狙っている。千歳から帯広、千歳から旭川は同社の高速道路が走る。最近増えてきたリピーターは空港からレンタカーで街道を巡るケースが多い。当然、高速道路を利用するわけだ。砂川サービスエリアのハイウェイガーデンは上野ファームが監修、占冠パーキングエリアは紫竹ガーデンが監修といった具合に、街道のメンバーとタイアップして、ミニガーデンを制作している。
もちろん、ガーデン街道のメンバーになれば、それで自動的に観光客がやってくるという話ではない。
林さんの「千年の森」では、ガーデンとチーズ工房、そしてセグウェイを売りにしている。セグウェイは米国で発明された電動立ち乗り二輪車。これに乗って広大なガーデンの中を回れるガイドツアーを始めたところ、大ヒットしたのだ。
こうした取り組みで、6~7月に集中している客足をほかの時期にも広げることができると期待する。初夏とは違った秋のガーデンの魅力も訴えている。十勝の豊かな食材をアピールすることで、さらにリピーターを増やしたい─。林さんの地域おこしの夢は広がる。
(写真・生津勝隆)
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