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2015年10月12日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年東京生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材、各種メディアに執筆するほか、講演やテレビ出演、勉強会の主宰など幅広く活躍している。オフィシャルHP(http://isoyamatomoyuki.com/)

著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)、『理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP)、『国際会計基準戦争 完結編』(日系BP)、『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP)など。共著に『オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

早稲田大学政治経済学術院(大学院)非常勤講師、上智大学非常勤講師。ボーイスカウト日本連盟理事。静岡県ふじのくにづくりリーディングアドバイザーも務める。

日経ビジネスオンライン(日経BP)、現代ビジネス(講談社)、フォーサイト(新潮社)、月刊 WEDGE(ウェッジ)、月刊 エルネオス(エルネオス出版)、フジサンケイビジネスアイ(産経新聞社)などに連載コラムなどを持ち、定期執筆している。

旭川と富良野を結ぶガーデン街道の一つ国道237号

 とかち帯広空港、旭川空港、新千歳空港の3つの玄関口から入った観光客は、時計回りにせよ、その逆にせよ、旭川から帯広の間の「ガーデン街道」を旅するようになる。「ドイツのロマンチック街道は有名ですが、それぞれの町の名前は余り知られていない。そんな街道にできないかと考えたのです」と林さん。帯広、富良野、旭川というそれぞれの観光地が「点」で戦うのではなく、ルートを作って街道化すれば、一気に集客力を高められると考えたのだ。そんな林さんの狙いは見事に当たる。年間約35万人だった旅行者数は60万人に跳ね上がった。

 もちろん、各ガーデンが初めからすんなり「街道化」の話に乗った訳ではなかった。富良野は自力で集客できる力があるし、旭川の「上野ファーム」は、ガーデン好きの女性たちにもともと大人気だった。旭川には旭山動物園や大雪山の旭岳もある。帯広と組むメリットがあるのかどうか。

大雪山

成熟期に入っていた観光地

 だが、伝統的な観光地として成熟期に入っていたそれぞれの地域が、自分の力だけで集客し続けていくことに限界を感じ始めていたのも事実だった。いつか人気が衰える時が来るのではないか、そんな不安を感じていたのだ。もちろん、点を線にすることで地域全体が潤うようにしたいという林さんの熱心な説得もあった。

 「北海道ガーデン街道」が人気ルートになったことで、それぞれのガーデンの入場者は大きく増えた。「十勝千年の森」は2000年にスタートしてレストランやチーズ工房を手がけたが、年間の来場者は2万人ほどだった。それが街道化で8万人にまで増えた。「組み合わせによって新しいものが生まれる。まさにイノベーションを起こすことができました」と林さんは振り返る。

 上野ファームも、個人だけでなくツアー客が増え、年間6万人が訪れるようになった。「点在していたガーデンが線でつながることで、それぞれの違いを知ってもらうことができました。結果として個別ガーデンの新たな魅力に気が付いてもらえるようになりました」と上野砂由紀さんは語る。

上野ファームの上野砂由紀さん

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