対談

2015年9月25日

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久松氏

久松 売り上げ年間2億円の法人を一つ立ち上げるという話であれば、僕にできることはない。でも2000万円の法人10個作って、それを横に広げていくということなら協力できる。久松農園は7人の小さなチームなんだけど、そこに三条市から研修生を受け入れて、徹底的にOJTで揉んでいく。研修生は2年間、三条市から給料をもらいながら働くんですけど、数ヶ月に一回は、本人と僕、そして市の担当者で面談をします。三者の誰か一人でも「もう無理」といった時点で研修終了、というルールです。

 市長には8年で8人育ててくれと言われているけど、「それは無理です。8年で4人育てたら三条市に僕の銅像を建ててくれ」って言っています(笑)。それだけでも凄いことだし、もしかしたらゼロに終わるかもしれない。成果ゼロがありえる事業に小さな自治体がお金を出すのは難しいことだと思うんだけど、それでも出してくれるんだから、こちらも当事者として面接の段階から妥協しないで人を選ぶつもりです。そこまでやってゼロなら、僕が市議会で土下座するしかない(笑)。

 農業では、全国でこういう研修制度ができてきていますけど、どうしても総花的に「どこにいっても通用する技術を誰にでも」になりがちで、たいていはうまくいかない。結果にコミットするためには、自分のできることに絞る責任もありますよね。そこは木下さんのやられていることと共通するような気がしています。

木下 そうですね。自治体主導の活性化では、どこもお金も人も足りないのに、「人材育成も商品化もPRも全部やるんだ」と同時並行で3つも4つも走らせたがりますよね。でも3つの事業を同時に走らせるよりも、1つずつを4ヶ月ずつでやった方がずっといいと思うんです。同時に3つ走らせるのも、3期に分けるのも予算は一緒ですし、年に3回チャレンジの機会を作って1つでもうまくいったら大きく育てる、という考え方のほうが、とにかくひとつでも成功体験を積みやすいという意味で優っています。さっきも言ったように、3ヶ月で何一つ芽が出ないものはどこかに問題を抱えているわけで、その見極めの契機にもなります。

 地方にとってのネックは「お金」じゃなくて「人」なんですよね。過疎地でも、過疎債で起債するなどで、その年度のお金は調達できる。借金は膨らみますけどお金の問題はどうにかなってしまうから、同時進行をやりたがるんです。でも小さい町で、結果を出せる事業に明るい人材は限られています。その人に3つも4つも掛け持ちで同時進行させるから、すぐにパンクしてしまうんですよね。

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