対談

2015年9月25日

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木下 しかし、そういうリスクを取りたくない人たちが、行政から1000万円を超える予算を引き出して、「空き家再生会議」みたいに目的が不明な会議を開いたりする。「貸したい人」と「借りたい人」の座談会を組んだって、そこには成功も失敗もありません。「みんながやる気になった」「知り合いになれた」「よかったよかった」、というだけのものに過ぎません。

久松 豪華な合コンだ(笑)。「すべての人と地域でうまくいく」なんていうのは幻想だとしても、うまく回りだせばどんどん良い方向に変わっていって、結果として「うまくいく地域」になる、ということもあるんですか?

木下 あります。でも、やはりプロジェクトにはバイオリズムのような上がり下がりがあって、うまくいく一方ではありません。最初はよくても、途中から急に息切れしてしまうこともあります。ちょっとよくなるとみんな油断するんですよね。ま、僕自身もやはりそうですが(笑)。

 僕らが活性化事業を行う場合は、自分たちも出資して、不動産オーナーさんたちと事業会社を立ち上げます。そしてまず初年度から地域の域外収支を改善しつつ、会社としても手堅く黒字を出すと決めています。やはり最初から赤字だと、「なんだかんだいって赤字かよ」という話になりますので。

 中期的には思うように収益を上げない投資があっても仕方がないのですが、初年度や2年目になんとか頑張って黒字にすると、地域の成果としてもやはり認められてきます。

 会社として黒字構造ができて、地元でも一定の信用を獲得する。それがまた次なる営業の際の信用になる。でも地元の人たちは黒字経営の会社になり、地元で認められたりすると、それで満足してしまうこともあるんですよね。本当はもっと活性化事業に力をいれなくてはならない、個別事業で営業にもっと力を入れなくてはならないのに、なんとなくだれてしまって、成長が低迷することもあります。そこでまた気合を入れないといけない、そういう波が常にありますね。

久松 水は低きに流れるんだよねえ。話を聞いていて思いだしたんだけど、長野県の佐久穂町に有機農園をやっている仲間がいるんです。そこの長老達が集まって話す会議に、彼も若手で一人だけ出ることがあるらしいんですね。
「コメを作っても若い人はコメを食べないしどうしよう」と皆が頭を悩ましている中で、彼が「自分たちが本当に好きで誇りに思えるものを何か作ってみよう」と提案して、地元の酒造と一緒にあきたこまち100%のお酒を作ることになった。酒米じゃないからすごく素朴な田舎の酒なんだけど、「お米の味わいがする」といって評判になって、地元でもすぐ売り切れるようになったんです。

木下 いい方向性ですよね。

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