WEDGE REPORT

2015年10月10日

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 しかし、何人かの候補者が脱落し、共和党候補の絞り込みが始まった今からがトランプ氏にとっての正念場となるだろう。

 現に、9月にカリフォルニア州で行われた最初の候補者討論会では、トランプ氏の口を封じた元HP社CEO、カーリー・フィオリーナ氏が一気に支持率を上げた。現在ではトランプ氏にそっぽを向いた中南米系の票を集められる、マルコ・ルビオ氏の株が上がっている。トランプ氏の失点がそのまま対立候補の得点となり、一時は過半数近くまで伸びたトランプ支持率も30%前後に落ち込んだ。

 さらに、トランプ氏にとって不利なのは、トランプ支持層が「選挙で投票する層」とは重ならない、という点だ。ネットで共感するのは若者が多く、ミドルクラス以下の投票率は常に低めだ。つまりトランプ人気とはバブルであり、実際の投票ではもっと堅実に投票を行う層に支持される候補が強い、という見方がある。

大統領選挙を「面白い見世物」にした

 これまで何度も大統領候補に模されながら、実際の立候補は拒否してきたトランプ氏が、なぜ今回は立候補に踏み切ったのか。これにも様々な見方があるが、有力なのは「ヒラリー・クリントン氏の当選を阻止する」意図があった、というもの。共和党として今回は政権奪還が至上命令だが、候補者が乱立する中、クリントン有利で進んできた。元々クリントン氏とは犬猿の仲であるトランプ氏が、自ら話題を提供することで人々の関心を共和党に向けたのでは、というまことしやかな説まで登場している。

 ひとつだけ確実なのは、今後複数回繰り返される候補者討論会が史上稀に見る白熱したものとなり、テレビ視聴率も過去最高が塗り替えられ続けるだろう、という点だ。大統領選挙を「面白い見世物」にした、という一点だけでもトランプ氏の立候補には大きな意義がある。

  
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