患者もつくる 医療の未来

2015年10月13日

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 仮にそのような態度の管理者や医師・スタッフが、院内に一人二人いたとしても、管理者を含めた病院全体の総意として、そのような不健全な結果にならないように、「チーム」としての健全な判断が必要です。

 そもそも、事故調査をするかしないかの判断は、「過失があったかなかったかを事前に判断して過失があったものを調査する」というわけでは決してありません。「死亡や死産の原因がはっきりしない場合」や、「くり返したくない結果であったために何らかの再発防止策が得られないか、と考えるケース」などが、調査の対象とすべき事故です。

 したがって、医療機関からすれば、遺族が調査を求めている場合や、スタッフの中に一人でも調査すべきだ、と考える人がいる場合は、調査すべきであり、調査をしなければ、その人たちの疑問がクリアされないままになり、それは不信感につながっていきます。入口を狭めることは、多くの人の納得や信頼への入口を閉ざすことになってしまうわけです。

 それだけに、遺族の側も、調査を希望するようなケースでは、病院側に調査の依頼を申し出ましょう。遺族が言ってもダメな場合は、「医療過誤原告の会」などの市民団体や、「医療問題弁護団」などの弁護士グループに相談して、医療機関に事故調査を開始する判断をしてもらうための支援を要請するとよいと思います。

(2)解剖はできるだけ積極的に実施する

 死因の究明では多くの場合、解剖が必須です。解剖が必要なのに実施されない場合、原因分析のための情報が足りず、死因の究明が困難になってしまうことが一般的です。

 特に、日本では、遺体に傷を付けることになることから、解剖に対する一般的な抵抗感が強くあります。そのため、これまでは、医師が単に「解剖はどうしますか」というような丁寧さにかける短い言葉で遺族の意向を聞くだけで、「できればしたくないです」と患者が応えると、カルテに「解剖を進めたが遺族が拒否した」と書く、というようなことがくり返されてきました。後に遺族が死因を不審に思い、調べてほしいと思っても「遺族のあなたたちが解剖を拒否したから死因はわかりません」と言われてしまうケースも少なくないのです。

 医師や看護師等は、死因の究明には解剖が必要であること、解剖をしなければ原因がわからないままになることが少なくないこと、死因を究明して事故を再発防止につなげることが医療界にとってとても意義があり、死亡してしまった患者の命に意味を持たせることができること、などを心を込めて伝えて、協力を求めることが重要です。

 しかし、医療側にも、自らの医療内容を含めて調査されることへの抵抗から、解剖に消極的になってしまう医師らがいるかも知れません。遺族側が、積極的に解剖を依頼することが大切です。解剖する場合、医療機関は、司法解剖にするか病理解剖にするかなどを警察に相談することもあると思いますので、どのような解剖になるかについても、遺族は医療機関側に説明を求めるとよいと思います。

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