2024年12月26日(木)

田部康喜のTV読本

2015年10月22日

 テレ朝の「相棒」シリーズが14を迎えた。前シリーズで相棒の甲斐亨(成宮寛貴)が、「ダークナイト」として、犯罪者をカゲで処刑していたことが明らかになって、懲戒処分になるという、シリーズのなかでは意外性のある相棒の退場劇のあとである。

 杉下右京(水谷豊)の4代目の相棒である、冠城亘(かぶらぎ・わたる)役には反町隆史が配役された。法務省のキャリアから警視庁に出向しているという設定である。

 第1話「フランケンシュタインの告白」では、甲斐の事件にからんで無期定職になった、杉下はなんと、スコットランド・ヤードすなわちロンドン警視庁で犯罪捜査に協力して、残留を勧められる。

 帰国した杉下は、部屋にいる冠城に対して、いつものように冷静である。その仕草から性格を見抜いて見せたり、自分の車に乗せて乱暴な運転にあきれさせてみたり、面白がっているさまは、新しい相棒の誕生に観客の心を喜ばす。

後編が待ち遠しい「刑事フォイル」

 「相棒14」もよいけれど、刑事モノではBSプレミアム「刑事フォイル」が魅せる。1話が前後編に分かれて放映されるので、後編が待ち遠しい。

 舞台は、第2次世界大戦下の英国南部の町、ヘイスティングスである。警視正のクリストファー・フォイル(マイケル・キッチン)は、車の運転ができない。戦時中のことで陸軍の輸送部隊にいた、女性兵士のサム・スチュアート(ハニーサックル・ウィークス)が配属になる。そして、もうひとり捜査チームに加わるのが、ノルウェーの戦いで片足を失った、巡査部長のポール・ミルナー(アンソニー・ハウエル)である。

 「刑事フォイル」は、ナチスドイツが欧州を席巻して、いまやイギリスを標的にして攻撃をしかけてきた時代を背景として、ヘイスティングスの街で起きる殺人事件にフォイルたちが挑む。

 史実が巧みに織り込まれているので、英国からみた第2次大戦の様相がわかって、事件の謎解きに加えて、ドラマの魅力になっている。

 「臆病者」は、「ダンケルクの奇跡」がドラマに奥行を与えている。

 ナチスドイツを迎え撃つために欧州戦線に派遣された、英国軍とフランス軍計35万人が、追い詰められたとき、英国は民間の船を動員して、ドーバー海峡を渡って兵員の救出に成功したのだった。


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