2024年11月21日(木)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2015年12月16日

著名ブロガー(経済の専門家)の意見

 ⒈ 日本を含めた西側のメディアが伝える中国経済の分析は、近代経済学のセオリーに基づいた分析が中心であるが、近代経済学が所与の前提とする状況が中国では整っていないために、違った前提条件でいくら分析しても実態とのズレが出てきてしまう。例えば、近代経済学が前提とする社会というものは、民主主義に根ざした法治社会であり、中国は法治社会を目指してはいるが、局面局面においては、政治が優勢する実態があるので、実態は近代経済学のセオリーとは大きくかけ離れてしまう。

 ⒉ 自分は、制度経済学の専門家であるが、中国を見る場合はこの視点が重要。制度を少しばかりいじることで経済のアウトプットは全く違うものになってしまう。現在の中国の経済運営が望ましいものとは思えないが、崩壊することも想像はしにくい。なぜならば、もし、経済的な危機に陥ったなら、中国は、まだまだいくらでも経済を上向かせる余力を持っているからである。もっともわかりやすいのは、国有企業が持っている膨大な権益である。国有企業はこの権益を生かして巨万の富を有しているが、それでも大きな非効率があり、この権益を少しでも民間に放出すればGDPが上向くのは明らかなことである。

 この2人の専門家は日本のメディアに対して自分の名前を出すことを希望しないので匿名で紹介しているが、民間人ではありながら中国で相当な影響力を持っている識者である事は間違いない。このように現地の専門家の意見を聞いていると、中国経済は様々な難しい局面を抱えているとはいえ、日本で言われるような崩壊というものはなかなか想像しにくく、逆にうまく運営すればまだまだ成長の余力も持っているようだというのが私の結論である。もし崩壊物のフォロワーの方がこの記事を読目にする機会があれば、せめてこういう見方もあるということで参考になれば幸いである。

 また、日本企業が、中国ビジネスを拡大か、現状維持か、撤退かを検討するにあたっては、それぞれのポジションによって違った見方が出てくると思われる。いずれにせよ、リスク分析は当然のこととはいえ、情緒的な崩壊論に影響されることなく、冷静に判断することをお勧めしたい。最近、国際金融の専門家と話していて、米国の国際金融資本は、中国からの投資を全く引き上げておらず、逆に増強しているとの分析を耳にしたが、グローバルな政治情勢を冷徹に見極め、時にそれを左右することもある彼らの動きもきちんと横目で眺めておくべきであろう。

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