2024年4月22日(月)

いま、なぜ武士道なのか

2009年10月17日

 つまり

一、勇気を教えること
一、よい家庭環境
一、母親の考え方

 これらが子供を育てるに最も大切だというのである。近ごろは女性の自立が盛んにさけばれている。自立することはもとより大切なことであるが、それはいったい何を意味しているのであろうか。単に自分の立場のみを主張するのではなく、みんなの中での調和ということを念頭におかなければならない。権利と欲望の区別がつかないまま、自己主張のみが先行すると、その犠牲は、家庭にあっては子供の肩にかかってくる。つまり父と母が自分の人生のみを追求すれば、当然のことながら家庭の存在がうとましくなる。自由に生きるには子供の存在が邪魔になってくる。こんなところから家庭の崩壊が始まり、子捨てごっこがはやってくる。それは自由に対する無責任な拡大解釈からきているのである。

 一時教育ママという言葉が嘲笑的に流行した。それは『葉隠』でいう、「女の浅ましき心にて、行末を頼みて、子と一味する」と同じ心理である。

 母親が、子供を味方につけて父親の無能をなげく例は多い。それによって、母親の有能を証明していると錯覚しているのである。やがて子供は、その偽善を見ぬき母親をも攻撃してくる。これが非行という木の根に相当する部分である。父権喪失を嘆いた母親が、子供からは親権喪失として告発されることになる。

 『葉隠』のこの項は、戦後民主主義を考えるにあたって、忘れ去られていた何ものかを、鋭い洞察力をもって指し示しているように思えてならない。

 

◆『いま、なぜ武士道なのか―現代に活かす「葉隠」100訓』

 

 

 

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