WEDGE REPORT

2016年1月11日

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 現在IoTと呼ばれるものはすべてまだポイントソリューションに留まっている。これを統合して一本化できるのはまだ先の話だが、その時にサービスの標準化が行われるのか、あるいはメーカーによる独自の手法が取られるのか、というのも考慮すべき点である。

10年後にどんなデバイスが登場しているか

 10年前に「eメールをチェックするとき何を使うか」という質問に対し、PCと答えた人は95%だったという。現在では携帯やタブレットの成長もあり、この割合は65%にまで下がっている。今後もこの傾向は続くが、では携帯やタブレット以外に今後何を使うか、というのがIoTのひとつの焦点となるだろう。

 そこでIDCでは「2025年のデバイス」という予測を行っている。しかしながら、iPhoneの登場以前にスマホの時代の到来を誰も予測できなかったように、10年後にどんなデバイスが登場しているかを想像するのは難しい。

 ひとつだけ確かなのは、「デバイスが個人IDとなる」時代が来ているだろう、という点だ。現在でも携帯で料金の支払いなどが可能だが、いずれ携帯などのデバイスをかざすだけで、例えば会員のポイントカード、健康保険証、個人識別、病院での通院履歴などがわかる時代が来る。パスポートでさえデバイスに組み込まれる可能性がある、という。

 また、IoTに欠かせない要素が「M2M」、つまりデバイス同士の連携だ。これは例えば、人が冷蔵庫を開閉する回数、玄関ドアを開閉する回数などを認知し、極端に数が減った場合「留守」と判断してホームセキュリティを強化する、あるいはなんらかの非常事態が起きた、と認識して外部に連絡する、といった機能だ。

 ただし機械がこうした判断を行う世の中には危険が伴う。シンポジウムの中で「自動運転の車が坂道でブレーキの故障を認識した。車は停止できないが出来る限り安全に運転を継続しようとする。ところが道を横断中の数十人に出くわした場合、車の自動運転頭脳はなるべく犠牲を少なくするために車のオーナーを犠牲にするのか、それともオーナーを優先させ数十人の中に突っ込むのか」という議論があったが、M2Mの時代には笑い話では済まない現実なのだ。

 もうひとつの危険性は、デバイスがIDとなった時、究極の管理社会が訪れるのでは、という点だ。究極のウエアラブルとは、人体にチップを埋め込む、ということになるかも知れない。そこに個人情報を書き込むことで、いつ、どこで、誰が何をしているのか、経済活動は、などすべての情報が管理できる。日本にもマイナンバー制度が導入され、個人の特定がますます容易になっている。プラスの面もあるだろうが、そこには被管理社会という側面もある。

 IoTには様々な可能性があるが、それを人間生活の向上に役立てるためには今後の方向性を含め、注意が必要となる。

  
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