勢いに乗る企業は基調演説のプレゼンテーション演出も優れている。そんな気持ちにさせられたのがラスベガスで開催中のCESにおける韓国サムスンのステージだ。
サムスンが推進するIoTについての説明を行ったのは、サムスンのソリューションビジネスユニットであるサムスンSDS社長、WP・洪氏。IoTを推進するための重要なパートナーとのステージとなったが、その顔ぶれはバッテリー開発の子会社であるサムスンSDI、インターフェイス関連のコーニング社、マイクロソフト、ゴールドマン・サックス、BMW、ホテル、不動産を世界に展開する中国アスコット、とまさにゴージャスなチーム。
厚さ0.3ミリのバッテリー
SDIはサムスンが開発した厚さわずか0.3ミリというストライプバッテリーを紹介。IoTとは「バッテリー・オブ・シング」に他ならない、なぜならIoTを実現するためには常に安定した電力を供給でき、チャージ時間の短いバッテリーが不可欠であるためだ。0.3ミリという厚みのバッテリーは、ウエアラブルに大きなフレキシビリティを与える。
コーニングは40年以上にわたりサムスンとパートナー関係にある。抗菌ガラスを使用した携帯スクリーンなど、サムスンのコンピュータ関連デバイスにとってなくてはならない存在だ。
そしてマイクロソフトはサムスンの新型タブレット「ギャラクシー10プロS」とウィンドウズ10の提携を発表。携帯用OSでは、ややグーグル・アンドロイド、アップルOS に遅れをとるマイクロソフトだが、PCから携帯まですべてのデバイスに1つのOSで対応するウィンドウズ10で巻き返しを図る。
注目すべきは、ゴールドマン・サックス(GS)との提携だ。同社はいうまでもなく世界をリードする金融関連企業だが、特に高度のセキュリティを必要とされるこの業界が、サムスンのセキュリティシステムであるKNOXを採用。GSの金融ソフトウエアである「ラグーン」と合わせて顧客に提供する。GSではこれを「シンクロノス・テクノロジー」と呼ぶ。
そして今や家電業界のトレンドともなった、自動車業界とのスマートホーム、車内コミュニケーションシステムの連動で、サムスンはBMWとのパートナーシップを獲得。同社のEV、i3と「シームレスモビリティ」を提供する。
スマートホーム、スマートシティ関連では、全世界にホテル、長期滞在型アパートホテル、不動産を展開する中国アスコットが同社の持つホテルや住まいにサムスンのスマートホームシステム導入を発表。顧客への快適さの提供とともに、全体でのエネルギー節約を目指す。