WEDGE REPORT

2016年1月20日

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 オートショーと違ってこちらのほうは講演者全員に共通のテーマがすぐに理解できた。

 「自動運転」「コネクテッド・カー」、そして「変わりゆく自動車購買層」である。もちろんそれ以外にも、「米国市場の自動車販売台数がこの先1、2年でピークを迎えることにどう対応するか」、「ガソリンが安価なままで今後も推移すると、米国ではますますピックアップや大型SUVばかりが売れ続け、2025年に控えているCAFE(企業平均燃費。販売した自動車の平均燃費に規制がかかる)新燃費基準をどの自動車メーカーも達成できない」という話題も登場している。

 特に後者はEVの普及が全くといっていいほど進まない現状と合わせて深刻な問題なのだが、CES、デトロイト・オートショーから一気に続くイベントの中ではやはり、グーグルやアップルの自動運転車プロジェクトのほうに注目が集まる。

テーマは「コネクテッド」「自動運転」
「カー・シェアリング」「電化」

 オートショー会場で味わった中途半端な、いわば「消化不良」の気分でいた私はこの会場で少し救われたようだ。次々とステージに上がり様々な立場から語るスピーカーたちに共通するテーマは「コネクテッド」、「自動運転」、「カー・シェアリング」、「電化」であり、その根底を貫くのは「安全」だった。

 同じテーマが散りばめられていたはずのオートショー会場でこれらがはっきりと見えなかったのは、つまり新しい時代のクルマが備えているこれらのテーマは自動車産業だけでは語ることができないものなのだ。オートモーティブ・ニュース・ワールド・コングレスで聴いた幾つかのスピーチを透かして見るとデトロイト・オートショーの景色が違ったものに見えてきた。

 NHTSAのローズカインド局長は、自動車業界が「衝突時に搭乗者を保護するクルマ」から「衝突しないクルマ」を造ることに注力していることを高く評価した。

 IBMのサターフィールド氏は、自動運転車、コネクテッド・カーに必要な「クルマが自分の周囲の状況を理解し、次に起こることを予測してそれに対応する」ための新しいテクノロジーについてプレゼンを行った。

 グーグルの自動運転車プロジェクトを率いる元現代自動車社長のジョン・クラフチック氏は「自動運転車が絶え間なく取り入れる搭乗者のビッグ・データを活用してビジネスなんて考えていない。私の95歳になる母親は10年前に高齢のため運転免許証を返還したが、そのために彼女はアメリカ人にとって最も大切なもののひとつ、好きなところに自分で行ける自由を失った。彼女が自分で移動できるクルマを造りたいんだ」と力説した。

 米国トヨタのジム・レンツ社長や日産のカルロス・ゴーン社長は「運転しないクルマを造るのではなく、絶対にぶつからないクルマを造ろうと目指している。しかしドライバーには運転する楽しさを失ってもらいたくない」と語り、違う考え方で同じゴールを目指しているように聴こえた。

 ぶつからないから誰が乗っていても毎日安心して使えるクルマが、週末にはサーキットで腕試しもできるクルマだったら楽しいかもしれない。

 さらに、モルガン・スタンレーのアダム・ジョナス氏が登壇し、今日「所有」し、「運転する」クルマが「シェア」し、「自動運転」してくれるクルマへと変わって行く未来を予測した。

 まず、自動運転に取り組んでからシェアするのか、シェアしたクルマが自動運転車へと進化していくのか、2通りの道がある。前者はグーグルやアップル、そしてテスラ・モータースなどが取り組んでいるもので、後者はリフトやウーバーなどがそれに当たるのだろう。これらは都市部でクルマの数の減少、自動運転による効率的な流れによって渋滞解消にも一役買いそうだ。

 そこで問題となるのは、クルマの販売台数が減ってしまうということだが、世界中の様々な地域で、いや米国内でさえも大都市部以外はほとんどが「田舎」なので、全国どこまでもカー・シェアリングのネットワークが整備されるというわけにはいかない。

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