WEDGE REPORT

2016年1月20日

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 一方で、ますます大きな割合を占めることになるY世代、若者の購買層がカー・シェアリングの一番のお客だとすると、自動車メーカーはこれらの若者が憧れてくれるようなクルマを造らなければ「所有」したいと思ってもらえない。だから、今よりずっと頑張らなければならない。もちろん若者たちにクルマを買う余裕のある収入を与えなければならないのは何より重要なことだ。

「尊敬されるブランド」から
「憧れられるブランド」に

 そうか、デトロイト・オートショー会場でちっとも見えなかった各メーカー共通のテーマは、それぞれのブランドを「憧れの対象」としようとする各社それぞれ異なるアプローチだったのだ。

 昨年ドイツの高級車ブランドと販売台数で肩を並べたレクサスが、デトロイトでLC500スポーツ・クーペを颯爽と発表したのは、レクサスを「尊敬されるブランド」から「憧れられるブランド」にしようとするトヨタの意気込みなのだろう。それは、トヨタが多く持っているベストセラーの大衆車たちがこれからも、Y世代以降の若者たちに受け入れられ続けるために必要不可欠なことなのだ。

 そしてリンカーンがコンチネンタルの名前を復活させたのも、長い間失われていたリンカーンという米国を代表する高級車ブランドの真の価値はどこにあるのか、フォードがもう一度自らに問うて出した答なのだろう。

 日本だけでなく米国でも語られる若者のクルマ離れに対して、自動車産業はその立ち位置を見直している。また、限りなく安全なクルマの姿を求めて、自動車業界はグーグルやアップル、テスラなどを恐れているのではなく、自分たちとは全く異なるスタイルを持つ「ありがたい狼藉者」だと思っている。彼らの力を加えてデトロイト(自動車産業の代名詞)は生まれ変わろうとしている。かつて3つのメーカーだけだった戦場には、今や世界中の凄腕の経営者が率いる全ての自動車会社が凌ぎを削っている。

 新しいクルマの時代がやってくる。今年のデトロイト・オートショーで耳をすませばきっと微かな地響きが聴こえるはずだ。


  
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