「来る者は拒まず」という姿勢
会見で受けた印象は、秘書がダメだったというもの。関わった2人の秘書は辞職したということだが、秘書だけの責任だろうか。甘利氏は父親から地盤を引き継いだ世襲議員だが、同じ神奈川県内が選挙区の小泉進次郎氏のように選挙で圧勝するほどではなく、過去には何度か小選挙区で敗れている。こうしたことから「来る者は拒まず」という姿勢で臨んでいるのかもしれない。また、県内の地方議員には甘利事務所出身の人物が多数いるが、これも選挙対策の一環なのだろう。しかし、いろんな人材を受け入れることで脇の甘い秘書も雇ってしまう結果となったのは皮肉だ。
甘利氏は会見で涙ぐみ、時折言葉を詰まらせた。TPP交渉最大の功労者とされ、その署名式に出席できないことへの無念さだろう。筆者の周囲も、会見を見て「かわいそうだ」と発言をする知人がいる。しかし、「身から出たさび」でもある。安倍総理は「任命責任は私にある」と述べている。最側近の1人で重要閣僚が自ら大臣を辞める事態に、安倍総理はどのような政治家の「矜持」を見せるのか。
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