2024年11月25日(月)

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2016年2月12日

ニューハンプシャー州予備選の結果を分析する

 ニューハンプシャー州予備選の最終結果は表-1の通りだ。アイオワ州の党員集会でトランプを抑え共和党候補者中1位になったテッド・クルーズ(テキサス州上院議員)は3位となり、2位トランプと僅差の3位であったマルコ・ルビオ(フロリダ州上院議員)は5位と後退した。この結果は事前にも予想されていた。

 ニューハンプシャー州は極めて白人比率が高い州だ。50州中第3位の94.2%と全米平均77.7%を大きく上回っている。一方、米国ギャラップ社が行った宗教心に関する世論調査では、ニューハンプシャー州は全米50州のなかで「信心深い」が最低の20%なのだ。表-2が示すとおりだ。出口調査では投票者の25%が「福音派」あるいは「ボーンアゲイン・キリスト教派」と答えているが、アイオワ州では64%だった。これでは、宗教保守の支持を受けるクルーズの上位進出は難しい。

 ルビオの敗北原因もはっきりしている。2月6日に行われたテレビ討論の出来が最悪だったのだ。アイオワ州予備選で上位につけたことから、他の候補者のターゲットにされたと言われているが、新聞に再録された発言を読む限り、しどろもどろで同じことを何度も繰り返し発言し、その途中には文法すら怪しくなることもあったようだ。出口調査では投票者の3分の2が、最近の討論番組は投票行動に関し重要だったと答えている。

 民主党予備選でサンダースが勝利したのにも理由がある。支持基盤の白人比率が高いことに加え、ニューハンプシャー州はマサチューセッツ州に隣接しており、ボストンに勤務するリベラルな住民が多いためサンダースの支持が増えたのだ。

危険な候補者は誰か

 トランプもサンダースも既成の政治勢力への挑戦者として登場している。トランプはワシントンの政治ではダメだとして「偉大な米国」を掲げ、サンダースは富裕層により政治が壊されているとしている。

 トランプが依然人気を保っている理由の一つに、対抗馬が見えない共和党予備選挙の現実がある。既成勢力(エスタブリッシュメント)と考えられるジョン・ケーシック(オハイオ州知事)、ジェブ・ブッシュ(元フロリダ州知事)、クリス・クリスティー(ニュージャージ州知事)、ルビオに票が分散し、まとまらないのだ。クリスティーと元ヒューレッド・パッカードCEOのカーリー・フィオリーナは2月10日に予備選挙からの撤退を発表したが、残りの候補者は選挙戦の継続を決めている。


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