2024年12月9日(月)

World Energy Watch

2016年2月12日

 先週末から米国の環境・エネルギー政策調査のためにワシントンDCに来ている。ニューハンプシャー州予備選が予定されていた2月9日の朝、新聞を読みながら部屋のテレビを見ていたところ、放送できない言葉に被せるピー音が流れた。日本語と違い、新聞を読みながらテレビを聞き取る「ながら族」ができるほど私は英語の能力がないので、ピー音の前後が聞き取れなかったが、画面では実業家ドナルド・トランプの演説が流れていた。大統領候補でもトランプは放送できない言葉を発するのだ。

 ワシントンでは、当然大統領選の話題で持ちきりなので、訪問先の米国商工会議所(共和党支持と思われる)、ブルッキングス研究所(民主党系と言われている)の研究者、またロビイストに大統領選の読み方を尋ねてみた。ニューハンプシャー州予備選の結果から、トランプが共和党の候補者として選出されることに懸念を示す向きもあるが、ワシントンでは、トランプより困る大統領候補者も挙げられていた。誰だろうか。 

常に銃を携帯するトランプ
武闘派同士だからプーチンに共感?

プーチンを持ち上げるトランプ(iStock)

 かつて、プリンストン大学のポール・クルーグマン教授は、ロシア・プーチン大統領を「青春時代をKGBで過ごしたので、学んだことは賄賂と脅しだけ。それが彼の手法だ」とニューヨークタイムズ紙の名物コラムで評したことがある。対ウクライナ、対EUのやり方も正しく賄賂と脅しを踏襲しているとの見方を披瀝していた。プーチン批判をあまりに行うと、クルーグマン教授の身に禍が起こるのでは? と心配になるほどの直接的な批判だが、トランプのプーチン評は随分異なっている。

 フランスの週刊誌のインタービューでトランプは独自の視点を披瀝し、先ずドイツ・メルケル首相を非難している。「移民の問題についてメルケルは悲劇的な間違いをした。問題を完全に確実に扱わなければ、ヨーロッパの終わりだし、本当の革命に直面することになる」。さらに、11月のパリ・バタクラン劇場の惨劇を引き起こした原因の一部はフランスの厳しい銃規制にあるとし、「私はいつも拳銃を携帯している。もしバタクラン劇場のあの場にいたなら、応戦していた」と勇ましい。

 トランプは、米国はロシア及びプーチンと非常によい関係を構築できた筈とし、プーチンとオバマ大統領間の会話がない状況から、関係はこれ以上悪くなりようはないとし、プーチンを次のように評価している。「プーチンは私を才気溢れる人間と評した。その発言により彼が賢明な人間と分かる」。
トランプはニューハンプシャー州において共和党候補者中1位となったが、それには理由がある。民主党のバーニー・サンダース(バーモント州上院議員)がヒラリー・クリントン元国務長官に大差をつけたのにも理由がある。


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