2024年4月24日(水)

海野素央のアイ・ラブ・USA

2016年3月13日

高い床と低い天井

 共和党内の統一を呼びかけているトランプ候補ですが、果たしてその課題を遂行することができるのでしょうか。米ギャラップ社の世論調査(2016年2月26日-同月28日実施)によれば、共和党支持者及び共和党支持に傾いている有権者は、トランプ候補が、「典型的な職業政治家でない」「有能なビジネスマンである」「本心を語る」の3点を高く評価しています。ところが、同社の別の世論調査(2016年2月26日-3月3日実施)をみると、共和党支持者及び共和党支持に傾いている有権者の54%がトランプ候補を好意的に、42%が非好意的に捉えているのです。

 確かにトランプ候補には熱狂的で好意的な有権者が少なくありませんが、同候補に対して非好意的な有権者もかなり存在しています。そのような状況を例えてみますと、高い床(多くの好意的な有権者)と低い天井(多くの非好意的な有権者)になります。理想は高い床(多くの好意的な有権者)と高い天井(少ない非好意的な有権者)です。言い換えれば、全体で占めている好意的な有権者の割合が大きく、非好意的な有権者のそれが小さい状況が望ましいのです。

 現在のトランプ候補は、理想とはかけ離れた状況に置かれています。高い床と低い天井の状態にあるトランプ候補では、党内の統一は難しいと言わざるを得ません。しかも、テレビ討論会でライバル候補を侮辱し、高慢な態度をとってきたトランプ候補の下で、共和党が一枚岩の結束を図るのは困難であると筆者はみています。
 

  
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